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40周年を迎えるヤマハSR400。その魅力をあらためて考えてみる


ヤマハ・SR400は昨年8月に生産が終了してしまったが、その人気は未だ健在。 むしろ40周年を迎える今年は次期モデル(5型)が発表されるだろうと、SRフリークはもとよりバイクファンからの期待は膨らむばかりだ。今回はそんなロングセラーモデルの魅力、そして歴史を振り返ってみたい。


REPORT●佐賀山敏行・一間堂(SAGAYAMA Toshiyuki)

変わらないようでいて変わり続ける。

でもやっぱり変わらない……SRの不思議な魅力。

 シングルクレードルフレームに空冷SOHC単気筒エンジン、前後スポークホイールにパイプハンドルと……バイクのハイテク化や高性能化が進むなかで、特段優れたスペックを持つわけではないモデルが今なお新車として店頭に並び(メーカー生産はすでに終了)、多くのファンに愛されている。そう、ヤマハ・SR400である。




 SRは1978年の登場以来、エンジン形式やフレーム形状を変更することなく生産され続けてきた稀有なモデルだ。ロングセラーモデルはSR以外にもたくさんある。たとえばホンダ・モンキーやスーパーカブ、ハーレーダビッドソンのローライダーなどもロングセラーと呼べるだろう。しかし、これらのモデルは車名やコンセプトは引き継がれつつも、たとえば初期型モンキーはリジッドフレームにOHVエンジンだし、ローライダーも初期型はショベルヘッドエンジンで、エボリューションやツインカムエンジンを搭載したモデルではフレームはラバーマウントタイプ、さらに現行モデルはソフテイルフレームとまったくの別物となっている。対して、SRは上述の通り、エンジンもフレームも、さらにはフューエルタンクやシートの形状も変わっていないのだ。




 よほどのSRフリークでない限り、シルエットだけでは型式や年式は区別できない。つまり、SR最大の魅力はこの40年間、ずっと「キープコンセプト」であり「キープスタイル」であったこと。1978年当時のスタイルや機構を持つモデルが、2018年でも新車で買えるのだ。しかも、基本設計を変えるようなモデルチェンジを行なっていないため、カスタムパーツの汎用性も高い。たとえば1978年モデルに装着可能なカスタムシートは2008年モデルにも装着できるし、互換ステーを使えば2017年モデルにも装着できるのだ。




 僕はこれまで5台のSR400/500を乗り継いできたが(現在は2台を所有)、カスタムをする際に適合年式を気にすることはほとんどない。もちろんエンジンパーツや吸排気を交換する際は排気ガス規制などを考慮するし、2010年モデル以降は吸気がF.I.(フューエルインジェクション)となり、それ以前のモデルとの互換性は格段に少なってしまって注意が必要だけど……。それにしてもいろいろなカスタムパーツが年式を気にせずにつけられるのは嬉しい限り。もともと人気車種なうえに、適合年式が幅広いためにアフターパーツメーカーからもたくさんのパーツがリリースされているのもポイントだ。




 さて、そうは言ってもこの40年の間、SRは排出ガス規制への適合や細かな改良を何度も重ねてきたのも事実。つまりSRは「変えるべきポイントを変えつつも、変える必要のないポイントは変えずにきた」ということである。

SRの歴史、3分プレイバック

1978 SR400

1978年に登場した初期型SR400/500はフロントに19インチホイールを履き、キャブレターは強制開閉式。フューエルタンクは現行よりも細いタイプで、通称「ナロータンク」と呼ばれるものを採用している。

1978 SR500

SR500はアップハンドルと分厚いシートを採用し、スポーティな400とはイメージを異にしている。

1979 SR400SP

発売1年半後にモデルチェンジを果たし、車名は「SR400SP」に。当時スポーツバイクに必須だった大八キャストホイールを履き、スポーティなイメージとなった。



1985 SR400

初のフルモデルチェンジで、フロントホイールは19インチから18インチに変更し、クラシカルイメージを高めるためにドラムブレーキを採用。さらにフューエルタンク容量は12ℓから14ℓとなり、側面がやや膨らんだ形状となる。このモデルは「2型」と呼ばれ、2000年まで続き、今でも「SR=前後ドラムブレーキ」というイメージを持つ人が多く、SR人気を決定づけたモデルといえる。




また、2型はリリース期間が長かったこともあり、さまざまな変更が加えられた。代表的なものだけでも……




・1988年:強制開閉式キャブレターから負圧式BSTキャブレターに変更。ほか、エアクリーナーボックスの容量増加、チェーンサイズの変更など。




・1994年:1983年より続く「セミエアフロントフォーク」とシートベルトの廃止。MFバッテリーの採用、ヘッドライトの常時点灯など。




・1999年:SR500が生産終了(400は2000年まで)



2001 SR400

2001年適用の排出ガス規制に適合させるためにフルモデルチェンジを敢行。「3型」と呼ばれる。主な変更点はキャブレターを負圧式BSTから同じく負圧式のBSRに変更し、エアインダクションシステム(AI)を採用。フロントブレーキがディスクタイプに変更された。このディスクブレーキは初期型とは別のもので互換性もない。生産は2008年まで続けられた。



2010 SR400

現行モデルとなる「4型」は2010年に登場。新たな排気ガス規制に適合させるために吸気システムにフューエルインジェクジョン(F.I.)を採用。見た目は2001年とほとんど変わらないないが、フューエルタンクは底部がキャブレターモデルと大きく異なっていて全くの別物。さらにサイドカバーやシートも新たに作り直された。

2016 SR400

そして4型は2016年が最終モデルとなり、2017年8月で生産を終了。現在新車で買えるのは、店頭に並んでいる車両のみとなっている。

SR400(5型)を大胆予想! ……というよりも、僕の希望です。

 もうすぐSRが生産終了となって1年。ヤマハ発動機のウェブサイトでは次期モデルの開発が明言されているため、このままSRがカタログ落ちする……なんてことはなさそう。発売時期は未定になっているが、今年は記念すべきSR登場40周年ということもあって、年内には「5型」が発売されるであろうと言われている。




 では、次期SRは一体どういうスタイリングになり、どんな機能が盛り込まれるのだろうか? 残念ながら、情報はほとんどないというのが正直なところ。ただ、排ガス規制の影響によってバイクの水冷エンジン化が進むなか、SRのアイデンティティともいえる空冷SOHC単気筒エンジンは維持してほしいところである。ひと目見てSRとわかるシルエットも変わることはないだろう。もしかしたら、ほとんど変わることはなく、ABSが新たに装備されるだけ、ぐらいの小変更が僕としては一番嬉しいのだが。




 その一方で、僕はこれを機に大きな変化があっても面白いんじゃないかとも考えている(たしかに変わらないことが魅力のSRだけど)。たとえばキックスタートを廃止してセルスタート、ブレーキは前後ともディスクにする。SRフリークにはキックスタートがあってこそのSRだと考えているユーザーも多いが、若いライダーに空冷単気筒・シングルクレードルフレームの「古き良きオートバイ(しかも新車!)」に乗ってもらうためには、キックスタートに固執する必要はないと思っている。もしもこだわるなら、中古車が豊富にあるのだから、それを選べば良い。わざわざこれから新車でSRに乗ろうというユーザーは「これまでのSRとは違う、だけどこれもSR!」……そんなモデルでないと魅力は伝わらないと思うのだ。ブレーキも同様で、せっかくなら「新車はしっかりと安全に止まる」ものにしてほしい。僕は前後ドラムの93年式SR400を所有していて、これはこれでシンプルで好きだけど、せっかくのニューモデルであれば、僕なら前後ディスクのモデルが欲しい!




 さて、SR40周年を迎える今年、新しいSRはどんな姿で現れるのだろうか。とても楽しみである。

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