先頃、公開された「平成30年版交通安全白書」の中に「今年は可搬式速度違反自動取締機の整備拡充を図る」という一文が記載されている。いよいよ新型移動オービスによる取り締まりが、全国展開しそうな勢いだ。そんな中、北海道の国道36号線で、不思議なオービスを発見! さて、その正体は?
何が何でもレーザー式を速度取り締まりのスタンダードにしたい警察のもくろみとは?
このLSM-100は、東京航空計器が開発した、レーザー式の簡易オービス。現在は北海道、岩手、熊本などでパトカーの屋根に搭載され、すでに全国で2,000件以上の検挙実績を挙げていると言われている。同じ東京航空計器製の可搬式移動オービス、LSM-300と性能は同等ながら、価格が540万円とLSM-300の半分。コストパフォーマンスが魅力だ。
ただし、三脚の上に乗せれば固定できるLSM-300に比べて、パトカー搭載以外だと電源システムを内蔵した台座が必要となり、取り回しは悪そう。つまり、今回のテストは固定オービスとしてのテストというより、レーザー式(レーザースキャンシステム)による測定精度を、わざわざ路面に埋めたループコイルと比較検証しているのではないだろうか。つまり、LSM-100の精度というわけではなくレーザー式そのものの正確性を証明し、現状ではグレーゾーン的なイメージがぬぐえないレーザー式速度取り締まりの市民権を得ようと、ついに攻勢に出たのかも知れない。
ちなみに、このテストは東京航空計器が独自にやっているという声もあるが、なんらかのカタチで警察が絡んでいることは間違いない。警察の許可なく、道路にループコイルを埋められるハズがないからだ。
いずれにしても、Hシステムによりレーダー式取り締まりの無敗神話が崩壊した今、警察は「価格が安い」「ループコイルを埋める費用と手間が不要」「無線免許が不要」「レーダー探知機が効かない」など数々のメリットがあるレーザー式を速度取り締まりのスタンダードにしようとしていることは間違いない。一時話題となったスゥエーデン製のレーダー式移動オービスの情報が、最近、ばったり途絶えているのはそれが理由なのか。
とにかく、そのテスト結果は大いに気になるところ。くれぐれも従来のように「メーカーが正確性を証言し、裁判官がそれを鵜呑みにして有罪判決を下す」ようなことが起きないことを祈るばかりだ。
最後に、物理学者でもあり早稲田大学の名誉教授でもある、反オカルトで有名な大槻義一氏が、過去にHシステム裁判で証言した名文句を記しておく。
「この世の中に100%正確な計測器など存在しない。もし、100%正確な計測器が発明されたら、ノーベル賞を100個くらい取れる。それどころか、RS-2000(Hシステム)のように科学的、学術的に精度が証明されていない測定器はえせ測定器であり、裁判の証拠などになりようがない」