昨年の東京モーターショーにプロトタイプが参考出品された、トヨタブランドの頂点に立つショーファーカー「センチュリー」の新型三代目が6月22日、遂に正式デビュー。同日よりトヨタ店(東京地区は東京トヨペットおよび東京トヨタ)で発売された。
21年ぶりのフルモデルチェンジとなる三代目センチュリーの開発テーマは「継承と進化」。
全長×全幅×全高=65×40×30mm拡大され5335×1930×1505mm 、ホイールベースが65mm拡大され3090mmとなったエクステリアは、前後左右とも水平基調の面構成に、後席最重視であることを明確に主張する太く傾斜の少ないCピラーを継承。
フロントマスクは工匠が金型を約1カ月半かけて手彫りして作り込み、躍動する翼のうねりや繊細な羽毛の表情をより鮮やかに描き出した「鳳凰」エンブレムを継承・進化させながら、縦格子のフロントグリル奥には新たに「七宝(しっぽう)文様」を採用している。
設定されるボディカラーは神威(かむい)エターナルブラック、摩周(ましゅう)シリーンブルーマイカ、飛鳥(あすか)ブラッキッシュレッドマイカ、精華(せいか)レイディエントシルバーメタリックの全4色。全色とも自己修復型対スリ傷性クリヤー「セルフリストアリングコート」を採用している。
このうち新開発の神威(かむい)エターナルブラックは、漆黒感を高める黒染料入りのカラークリアなどを含む7コート5ベーク構造。流水の中で微細な凹凸を修正する「水研ぎ」を2人の職人の手で約90分×3回実施し、さらに一点のくもりも残さないよう「鏡面仕上げ」を施す工程も追加される。
ショーファーカーにおいて最も重要な後席は、前述のホイールベース65mm拡大によってレッグスペースを拡大しただけではなく、スカッフプレートとフロアとの段差を15mm縮小、フロアマット装着時に段差をほぼゼロにすることで、乗降性をさらに改善した。
シート生地は、繊細なジャカード織り柄を採用した高級ウールファブリック仕様「瑞響(ずいきょう)」が標準で、カラーはグレー、ブラウン、ベージュの3色。本杢加飾はいずれもブラウンのタモ杢が組み合わされる。
走りのメカニズムは先代レクサスLS600hをFR化したものが基本となっており、381ps/510Nmを発する2UR-FSE型5.0L V8直噴+ポート噴射エンジンに1KM型224ps/300Nmのモーター、6.5Ahのニッケル水素バッテリーを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。絶対的な動力性能のみならず、燃費もJC08モードで13.8km/Lへと大幅に改善している。
前後マルチリンク式のアームには車高と減衰力を電子制御するエアサスペンションを組み合わせるとともに、18×7.5Jのノイズリダクションアルミホイールと、専用開発の225/55R18 98Hタイヤを装着。
安全技術も大幅にアップデートされ、ミリ波レーダーと単眼カメラを併用した「トヨタセーフティセンス」を標準装備。昼間の歩行者検知に対応するプリクラッシュセーフティ、ステアリング制御機能付きレーンディパーチャーアラート、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールを実装している。
そのほか、前後バンパーに超音波センサーを4個ずつ、リヤバンパーにはさらに準ミリ波レーダーを搭載。ブラインドスポットモニターとパーキングサポートアラートを採用した。
さらに、片側24個のLEDを内蔵したヘッドランプにより、照射エリアと遮光エリアを細かく配光制御するアレイ式のアダプティブハイビームシステムを搭載。また、発進時などの低速時に左右のLEDコーナリングランプを同時点灯することで、側方の歩行者認識を容易にしている。
クルマとして21年分の進化を遂げたのはもちろん、“匠の技”をこれまで以上に数多く採り入れることで、“走る伝統工芸品”としての価値も大幅に高められた新型三代目センチュリーの価格は1960万円。生産は先代センチュリーと同じく、トヨタ自動車東日本(旧・関東自動車工業)東富士工場が担当する。