アラクサラネットワークスは、インターネットなどのネットワークを介して、マイクロ秒(百万分の1秒)オーダーの高精度時刻同期を実現するPTP (Precision Time Protocol) 機能をスイッチ製品に搭載する。
ネットワークによって接続されている複数の機器(コンピューター等)の間で時刻を正確に同期させるためには、同期専用の回線を利用するなどの方法がある。専用の回線を利用せずに、インターネット等を介して時刻を同期する方法としては、従来NTP (Network Time Protocol) 機能が使われている。NTPはミリ秒(千分の1秒)オーダーで時刻同期を実現するが、近年では、さらに高精度な時刻同期を必要とするシステムが増えている。そこで、イーサネット経由で、マイクロ秒オーダーでの時刻同期を実現できる、PTP機能の利用が始まっている。
PTPでは,時刻情報を配信するマスタ装置と時刻情報を受信するスレーブ装置の間で伝送遅延情報交換し、スレーブ装置の時刻を伝送遅延情報で補正することによって、精度の高い時刻同期を実現する。PTP機能に対応するスイッチは、スイッチ内の伝送遅延情報を提供するなどにより、より精度の高い時刻同期を可能とする。PTPを利用することで、高精度の時刻同期のために従来必要であった、同期用の専用回線を使わずに、データ通信用のイーサネット回線のみで高い精度を実現することができ、コスト低減や運用の効率化が期待できる。
アラクサラは、マスタ装置とスレーブ装置の間で、時刻情報を転送するPTP機能を、AX4600Sシリーズに搭載し、2018年7月にリリースする。今後PTP機能に対応する製品を順次拡大してゆく予定。
高精度な時刻同期を必要とするシステムの例としては、放送局内の映像伝送システムがあげられる。従来から放送局では、映像信号の切替などを正確に同期させるために、高い精度を持つ局内基準信号 (Black Burst信号) を専用の同軸ケーブルで配信している。PTPを利用することで、映像・音声データ用の光ファイバ(イーサネット)回線を介して同期した時刻情報から、8K放送などで必要とされる高精度の同期信号を生成できる。そこで、これまで局内基準信号を分配する為に用いられていた同軸ケーブルを廃止することが可能となり、ケーブル敷設コストや重量の大幅な削減ができ、また効率的な運用が可能になる。
その他、PTPを利用可能なシステム (アプリケーション) の例としては、次世代携帯電話システム(LTE、5G)、電力システム(発電、送変電)、金融システム(高頻度取引)などが想定されている。
対応製品一覧
モデル名: AX4630S
サポートVersion(予定): Ver 11.15.C
リリース時期: 2018年7月
※今後サポートモデルは拡大予定
機能諸元
Path-Delay mechanism: One Step (sync)
Transport Mechanism Protocol: UDP / IPv4Multicast
Clock Type: E2E-TC
※順次拡張予定