ベスパを筆頭とした外国製スクーターを得意分野としている筆者にとって、個性的なスクーターはやはり食指が動く。そんなだから歴史やヒストリーまで兼ね備えたメーカー/ブランドなら、なおさら生唾ゴックンものだ。そんなだからEICMA2017でのランブレッタ大復活劇は青天の霹靂級の出来事だった……。(REPORT:大家伝)
1947年に生産が開始したランブレッタ
かつて一世を風靡したイタリアンスクーターブランドであるランブレッタをご存知だろうか? モッズファションに身を包み、スタイリッシュにキメたスクータリスト御用達のイタリアンスクーターである。
ランブレッタの製造メーカーは1933年に金属加工工場として創業したイタリアのイノチェンティ社で、ランブレッタスクーターの製造販売は1947年のモデルAという機種から。そして順次改良を施したり、バリエーションを増やし、現在でも人気が高いTVシリーズやLiシリーズなどをリリースしていく。人気が高いと言ってもイノチェンティ社としては1971年を最後にランブレッタの生産を終え、スクーター製造業からも撤退しているので、TVシリーズにしてもLiシリーズにしても新車は手に入らない。
話は少し前後するが、イノチェンティ社はイギリスの自動車メーカーブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)と提携、オースチンA40という4輪車のライセンス生産を開始する。それが1960年あたりのことだったが、イタリアンブランドでありながらランブレッタがイギリスで認知されるようになったのもこうした背景があったから。しかもこの頃にイギリスを発祥とするモッズカルチャーが一大ムーブメントとなったこともあり、このムーブメントに乗っかるかのようにランブレッタはモッドたちから支持され、一気に世界的な人気スクーターへと上り詰めたのだ。
◎EICMA2017の新生ランブレッタブース
そんな折り、ついに日本国内へのデリバリーを担当するというアナウンスがサイン・ハウスより流れたのである。サイン・ハウスといえばインカムのB+COMを始めとし、バイクパーツ&バイク用品を扱っているので輸入品の扱いには慣れているといえる。ひとまずは今春の東京モーターサイクルショーへの出展を予定しているというので、新生ランブレッタ・Vスペシャルシリーズが気になるという向きはチェックすることをオススメする。
以下は輸入元となるサイン・ハウスによるアナウンス全文。
(株)サイン・ハウスではこの歴史あるスクーター・ブランドの個性、美しくしかし合理的なデザイン、先進的な技術、何よりもこれだけリッチなブランドでありながら日本では手付かずの状態であったことに注目し、Lambretta GmbHと直接交渉。日本における総代理権並びにブランド使用権を独占することに成功しました。Lambretta GmbH社では、昨年のEICMAで発表されたニューモデル、V50/V125/V200の3機種の生産を2018年2月下旬より開始。㈱サイン・ハウスでは、3月23日から開催される東京モーターサイクルショーでこれらをいち早く入手し展示・発表する予定です。すなわちこの場が日本市場におけるランブレッタ・スクーターの復活の日となり、日本のプレミアム・スクーター・マーケットの全く新しい1ページがめくられる日となるのです。
(株)サイン・ハウスにとって、車両の取り扱いはその30年を超える社歴の中でまったく初めてというわけではありません。とはいえ、特に近年はオートバイを愛するお客様のためのオリジナル商品、なかでもモーターサイクル・インターコム市場の占有率50%を超えるブランドとして愛され選ばれてきたB+COM(ビーコム)をはじめとする商品群を企画、製造する「マニファクチャラ(メーカー)」として成長してまいりました。今回のランブレッタ社との契約は、こうしたアクセサリー・メーカーとしての生い立ちに、全く新しい車両インポーターとしての側面を加える、新しいチャレンジとなります。これまで培ってきたサインハウスならではの手厚いライダーサポート、質感の高い商品、類似するもののないデザインを大切にしながら、ほかの車両インポーターにはまねのできない新しいスクーターの扱い方を提案していく予定です。ぜひご期待ください。
以上、次回の後編ではV50/V125/V200をそろえる新生ランブレッタ・Vスペシャルシリーズについて詳しく紹介する予定だ。