日本が世界に誇るスポーツカー、日産GT-Rは、FRベースのAWDだ。日産GT-Rを雪道に連れ出して、その駆動方式、特徴を考えてみる。
日産GT-Rは、フロントに3.8ℓV6ターボ(VR38DETT)を積み、車両後方に配置されるトランスミッション(DCT)を介して車輪に駆動力を伝える。DCTは、GR6型である。トランスミッションの前方右下に配置されるアテーサETS機構は、GKNのEMCDを使う。ソレノイドとカム+湿式多板クラッチ構造で、オンデマンドAWD化している。トルクチューブを使ってエンジンからトランスミッションに伝えられたトルクは、GR6からGKNのEMCD〜トランスファーで前輪へ送られる。リヤのデファレンシャル内には、マツダ・アテンザi-ACTIV AWDにも使われていたJTEKTのITCCを左右それぞれ備え、トルクベクタリング装置として使っている。
GT-Rは、その素性通り基本的にFRの特性を持つ。リヤが滑り出すとフロントにも駆動力を流す制御だが、実際に走らせてみるとコーナーでお尻が出てもESCが働く。前輪が地面を掻いている感触はあまりなく、ひたすら強大なパワーで後ろから押されている印象だ。
旋回においても前輪のスリップ角がつき気味で、アクセルを開けてリヤが滑り出すとESCあるいはフロント駆動で姿勢を立て直す。センターデフ式のように、トラクションも使ってハンドルを切った方向に前からも引っ張っていくという感じではない。
コーナーに進入してリヤが横滑りすると、まず制御で姿勢を作り、そこからアクセルコントロールしようとドライバーがペダルを踏むと前輪が掻いて姿勢を立て直す。つまり、クルマが暴れたと思ったらさらにアクセルを踏めばいいという特性を持つのが日産GT-RのAWDである。
日産GT-RAWDといっても、方式によって走りは違う。その1マツダ・アテンザ i-ACTIV AWD編
車両重量:1770kg
前後重量配分:55:45(前軸970kg/後軸800kg)
前後トルク配分:0:100〜50:50
試乗車タイヤ:ダンロップ GRASPIC DSX(前255/40R20 後285/35R20)
タイヤ指定空気圧:前後200kPa