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「紀州のドン・ファン」殺害 元妻の被告人質問始まる 和歌山地裁


和歌山県の資産家、野崎幸助さんが2018年に急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、元妻須藤早貴被告の裁判が和歌山地裁で始まりました。須藤被告は無罪を主張し、自分は殺していないし覚醒剤を摂取させてもいないと語りました。検察側は、須藤被告が遺産を得るための計画的犯行で、覚醒剤を密売サイトから入手し夫を殺害したと主張。しかし、直接的な証拠に乏しいため、弁護側は事件性自体を否定。裁判は3日間行われ、須藤被告の主張に注目が集まっています。

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77歳)が急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、殺人などの罪に問われた元妻の須藤早貴被告(28)に対する裁判員裁判の被告人質問が8日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で始まった。

 被告は9月の初公判で、「私は殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と無罪を主張している。

 被告人質問は計3日間予定されている。8日は被告が弁護側の質問に答える形で自らの主張を説明する予定で、その発言内容に注目が集まる。

 起訴状などによると、被告は2018年5月24日、夫だった野崎さんに何らかの方法で致死量を超える覚醒剤を口から摂取させて殺害したとしている。2人はこの3カ月前に結婚したが、同居を避けた被告は野崎さんから離婚を切り出されていた。

 検察側は冒頭陳述で、被告が「莫大(ばくだい)な遺産を得るため、証拠を残さない完全犯罪を企てた」と強調。被告が密売サイトを通じて致死量の覚醒剤を注文し、事件当時も自宅で2人きりだったとして「被告以外の犯行は考え難い」と主張する。

 しかし、目撃証言を含めて被告の関与を裏付ける直接的な証拠がないとされる。弁護側は「そもそも野崎さんの死は事件なのか」と反論。被告の無罪にとどまらず、事件性についても争う姿勢を示している。【藤木俊治】

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