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水素30%混焼で発電時のCO2を10%低減 大型高効率ガスタービンで成功



三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、発電用大型ガスタービンの開発において30%の水素混焼試験(水素混合比率は体積比で表示)に成功したと発表した。水素燃焼用に新たに開発した燃焼器(バーナー)などにより、天然ガスに水素を混ぜた場合でも安定的に燃焼できることを確認したもので、水素30%混焼により従来の天然ガス火力発電と比べて発電時のCO2排出量を10%低減することが可能となる。

今回の水素混焼試験は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業である「水素社会構築技術開発事業」の一環として、MHPS高砂工場にある実圧燃焼試験設備で、63%以上の発電効率を誇る天然ガス焚きJ形ガスタービンの予混合燃焼器により、70万kWの出力に相当するタービン入口温度1,600℃の条件で実施。水素混合割合30%で、NOx(窒素酸化物)排出量、燃焼振動等について運用可能な条件を満たしつつ、安定燃焼ができることを検証した。




大型ガスタービンにおける安定した水素混焼技術は、MHPSの天然ガス焚き燃焼器技術を基に本事業のなかで改良を加え開発したDLN(Dry Low NOx:乾式低NOx)燃焼器を活用し、燃焼方式はDLN燃焼器で豊富な実績のある予混合燃焼方式を採用している。燃焼器の燃料ノズルにより、空気旋回流をつくり、より均一な予混合気を形成することが可能となり、低NOx化を実現した。燃焼器以外については、従来の設備をそのまま活用することで、天然ガス発電所から水素発電所へ転換する際の改造コストを抑制する。

日本では、経済産業省や内閣府が先導役となり、使用時に大気汚染物質や温室効果ガスを排出しない水素を中心的エネルギーのひとつに育成する気運が高まっている。ガスタービンの燃料に水素を使う研究開発も、分散型発電や地域コージェネレーション(熱電併給)に適した小規模火力発電所向けの中小型ガスタービンが先行している。今回、大規模火力発電所向け大型ガスタービンの水素燃料化に向けた試験に成功したことで、発電時の地球環境負荷の抑制に大きく貢献することが期待され、昨年12月の「第2回再生可能エネルギー・水素等閣僚会議」において決定された「水素基本戦略」で掲げるCO2を排出しない水素社会の実現への大きな一歩となる。




MHPSは、今後も水素ガスタービンの開発を推進することで、火力発電事業者の水素利活用に向けた需要を喚起していく。また、三菱重工グループは、カーボンフリーな水素供給のために欠かせないCCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2回収貯留)技術を有しており、これらの製品、技術と密接に連係しながら、水素の供給・輸送・貯蔵に関する国際的な水素サプライチェーン構築を牽引し、水素社会の実現に貢献していく。

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