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なぜ? トランクを広くしたら、音が静かになった新型リーフ【試乗記:日産リーフ】


初代の登場から早7年、リーフが初めてのフルモデルチェンジを受けた。


常に先頭を走ってきたEVのパイオニアだけに、航続距離の大幅な伸びや


先進の運転支援技術の搭載など、本気の全方位的進化を遂げている。


……にしても、トランクを広くしたから騒音が減ったってどういうこと?




REPORT&PHOTO◎小泉建治(KOIZUMI Kenji)

エクステリアデザインは、いわゆる先代からの正常進化。

e-Pedalでグイグイ曲がる!

 初代のデビューから8年、世界のEVカテゴリーを牽引してきたリーフが初めてのフルモデルチェンジを受け、二代目に進化した。当初200kmだった航続距離は、新開発の40kWhバッテリーの採用によって400kmにまで伸び、コンベンショナルなガソリンエンジン車とほぼ同等となった。インバーターは80kWから110kWとなって加速性能も飛躍的に向上し、とくに60-100km/h加速時間は30%も短縮されている。




 今回の試乗はカートコースを一時間、公道を一時間という内容だったが、この手のエコカーの試乗会にクローズドのサーキットが含まれることは異例だ。日産の担当者曰く、アクセルペダルだけで発進から減速、そして停止までをコントロールできる「e-Pedal」を存分に体験してほしいとのこと。それだけなら公道でも試せそうだが、まぁとにかくコースイン!

筆者ひとりで参加したので、自分の走行シーンの写真はなし。同じ走行枠だったジャーナリストの小沢コージさんの激走です。

 e-Pedalをオンにすると、なるほどアクセルペダルを離した瞬間に強烈な減速Gがかかる。それだけならBMW i3と同じだが、i3は停止直前に回生ブレーキが弱まってAT車のクリープ走行のような状態になり、そこから完全停止まではブレーキペダルを踏む操作を必要とするのに対し、リーフはそこからブレーキを使って完全停止まで行ってくれる。しかも停止前に僅かにブレーキを「抜く」ことで、カックンブレーキを防いでくれるのだ。そして停止後はブレーキをかけた状態を維持し、アクセルペダルを踏むまでクルマは発進しない。




 でも本当に驚いたのは、ハイペースでカートコースを飛ばしていてもほとんどブレーキペダルを踏むことなく、回生ブレーキだけで周回を重ねられたことだ。試しにコーナー手前までアクセルペダルを戻すのを我慢し、ブレーキペダル操作によって減速してターンインしてみると、これがなんだかチグハグでうまくノーズの向きを変えられず、急に運転がヘタクソになってしまった。




「それはですね、e-Pedalの回生ブレーキにはトルクベクタリングが働くからなんです」と広報しみじゅん氏。つまりフットブレーキだけだと減速とフロントへの荷重移動しか行えないないが、e-Pedalなら車体のほうで曲げることまで手を貸してくれるというわけだ。なるほど、道理でフットブレーキを使ったら曲がりにくいと感じたわけだ。e-Pedalが生み出すターンインの鋭さはちょっとしたスポーツカーである。日産がサーキットで試乗会を行った理由がわかった。



狭くて不安な道で光るe-Pedalの存在感

なんだか東北地方っぽい風景ですが、試乗会が行われた御殿場近辺です。こんな細い道でもe-pedalなら負担がひとつ減るので、それだけ路面状況や路肩の側溝の有無などに注意を払う余裕が生まれます。

 サーキット走行の次は公道試乗である。一応、気持ちよくドライブが楽しめる推奨コースがナビに入っていたのだが、気持ちいい道を走ったら気持ちいいに決まっている。酷い道や険しい道───酷道や険道を走ってこそクルマの真価を見極められると信じている筆者は、迷わず道を外れて田園地帯に突入した。




 アメリカやオーストラリアなんかと違って、日本の農村は畑が広大でも道はとっても狭いのが常識だ。基本的に軽自動車やリヤカーに合わせたような道幅だから、真っ直ぐ走る分にいいけれど、曲がるのがタイヘン。しかも初めて走る道だったりすると、行き止まりだったときにどこまでバックして、どこでUターンしようかなんてイメージしながら走らなくてはならないから、けっこう精神的にも疲れるもの。そんなときにe-Pedalだとすごくラクだったのは発見である。ただでさえちょこまかとブレーキペダルを踏む機会の多い狭隘路で、ブレーキを踏まなければどんなにラクかなんて考えたこともなかったが、実際に踏まなくてすめばラクになるのは当然か。クラッチペダルを踏む必要の有無と同じくらいの違いと言ったら大げさだが、理屈としてはそういうことだ。

先代の370Lから435Lへ、最狭部の横幅が750mmから1010mmへと大幅に拡大されたラゲッジスペース。広くなってめでたしめでたし……だけではなく、騒音対策にも効いているってどういうこと?

 そんなわかりやすい進化の影で、とても苦労しているのが音振性能や風音性能グループの開発陣だ。なにしろEVはエンジン音がないものだから、風切り音やロードノイズ、そしてモーター特有の高周波のノイズがとても乗員に伝わりやすい。しかも多くの消費者が「EVは静か」と思い込んでいるわけだから、ちょっとでも耳障りな音が聞こえると文句を言われてしまう。




 というわけで、新型リーフは騒音&振動対策も徹底的になされている。ベンチマークにしたのは欧州のプレミアムEセグメントサルーンで、具体的にはメルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズと同等の静粛性を実現したという。




 その方策は、とにかく音の侵入経路となる隙間を徹底的に埋めることと、吸遮音材の新規採用と構造の最適化だ。たとえばAピラーに当たってバウンドした空気が戻ってきてウィンドウに当たると大きなノイズになる。そこでウインドウに跳ね返ってこないようにAピラーの形状や角度や太さを徹底的に煮詰めている。フロントドア前端の、ボディとの隙間に吸遮音材を設け、面積にして99%を埋めて騒音の侵入を防いでもいる。ハッチバック車はリヤのフロアまわりからのロードノイズの侵入が大きいため、リヤのインナーフェンダーにも新開発部材を採用した。




 と、ここまではなんとなくシロウトでも合点がいく。だが、音振性能グループの倉田さんがニヤッとしながら発したひとことだけは意味が理解できなかった。




「ラゲッジスペースを広げたらですね、音が静かになったんですよ」




 ……? ラゲッジスペースと音ってなんか関係あるんすか?




「先代はラゲッジスペースの左右にバッテリー関連のデバイスを配置せざるを得なかったので、新型ではいかにラゲッジスペースを広げるかが重要課題でした。で、担当部署の懸命の努力によって必要なデバイスの小型化や場所の移動を行い、新型では大幅にラゲッジスペースが拡大できました。とくに横幅は250mm以上も広がったんですね」




 それで何が起きたか? ラゲッジスペースとボディパネルとの間の空間が狭くなった。その空間では、これまで外部から侵入した空気や内部で発生したノイズが渦を巻いていて、いわゆるこもり音の温床になっていたのだ。その温床が極端に狭くなったのでこもり音の発生が抑制され、静粛性が大きく向上したという。こりゃあ驚きの一挙両得である。でも試乗ではe-Pedal の安楽さやターンインの鋭さにばかり気を取られ、静粛性の向上に気がつきませんでしたよスイマセン。しかし騒音に気が回らなかったということは、音振グループのみなさんの仕事が完璧だったということですね! 試乗時にちゃんとチェックしなかった筆者の仕事が完璧にはほど遠かったことは言いっこなしだ。




 ユーティリティ性だけでなく、静粛性まで実現した「ラゲッジスペースの拡大」。いやはや、クルマの開発というものは実に奧が深い。もしも新型リーフに試乗する機会があったら、ラゲッジスペースを眺めながら開発陣の苦労に思いを馳せていただきたい。





Specifications


日産リーフG


全長×全幅×全高:4480×1790×1540mm 車両重量:1520kg 定格出力:85kW 最高出力:110kW(150ps)/3283-9795rpm 最大トルク:320Nm(32.6kgm)/0-3283rpm 駆動用バッテリー総電力量:40kWh 駆動方式:FWD 価格:399万600円
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