starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

DSM:新材料のエンジニアリングプラスチック「ForTii Ace JTX8」を発表


オランダの総合化学メーカー・DSMが、新しい高機能プラスチックを発表した。「ForTii Ace」と称するそのシリーズは、自動車用途において回路基板の著しい小型化・高密度化に貢献できると彼らは言う。なぜかと言えば、コネクターを著しく小さくできるのがその理由だ。

基板にはそれ同士あるいは配線類と接続するための部位=コネクタが備わっている。近年は、このコネクターをはじめとした部品を基板上に実装するときの方法として、リフロー半田付け(表面実装技術:SMT)という手段が用いられている。




従来の半田付け(フロー半田付け:DIP)が、コネクタから生えているピンを基板上の穴に通して半田を流し込んで固定する方法をとるのに対して、SMTはコネクタのピンを基板の上に載せるだけとし、コネクタ丸ごと加熱することで半田付けを完了するというプロセスをとる。基板に穴を穿たなくてもいいので小さくできるし、裏面にも回路を設けることができる。




いっぽうで、容易に想像できるように、コネクターに用いる材料には耐熱性が求められる。実装時にはオーブンによる加熱手段が主で、庫内温度は270℃にも達する。その際に溶ける、膨れる、割れるなどの変形を起こしてはいけない材料を用いなければならないのだ。施工後であっても、小さくなったことで強度や靭性が劣ってしまっては回路に不具合が生じてしまう。そのための材料開発が求められている。

従来型のコネクター(左)との比較。一律に比べることはできないものの、とても小さくなることが見て取れる。

DSMの「ForTii Ace」は、そうした要件をさまざま満たす性能を有している。靭性に優れることで幾度もの抜き差しにも耐える強度を持ち、ガラス転移点も160℃を確保することで、自動車用途に求められる150℃雰囲気下でもきわめて高い機械的/電気的性能を保つ。耐薬品性、耐絶縁性にも優れることで、たとえば自動車のエンジンルーム内に備わるECUのコネクターでも、小型化がおおいに期待できるというわけだ。




電子デバイスの搭載量がますます増えている昨今、一台あたり多いものでは4000個以上のコネクタが使われているという場合もあり、各部品の小型化は立ちはだかる課題のひとつである。熱にも薬にも強い樹脂材料としてはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が思い浮かぶが、これは非常に値段が高く、成形が難しい。従来のPA(ポリアミド)やPPA(ポリフタルアミド)は射出成形が可能だが、ガラス転移点が低い。PA4Tをベースとする「ForTii Ace」は、両者のいいところを併せ持つ性質が特長だ。




発表を聞いていて、この材料なら金属代替も可能なのではと問うてみたら、「もちろん進めています」との答えが返ってきた。この発表会に先んじて「ForTii Ace MX」という製品も発売を開始していて、これはガラス繊維を最大50%まで添加することで強度と耐熱性、耐久性を満足させたもの。DSMは、たとえば「パワートレイン、トランスミッション、電動化駆動システム、配電システム、熱管理システムなどにおける金属代替、さらに構造部材支持体(サポートフレーム)、フロントエンジンカバー、エンジンマウント、ボディコンポジットなどにおける、より優れた金属代替を想定」としている。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.