6月に改正され、この10月から適用された改正保安基準。「タイヤのハミ出し」に関する規定が若干、緩くなったのは既報の通りだが、ここへきて物議を醸しだしているのが「車両総重量制限問題」。保安基準に対応させるべく独立行政法人自動車技術総合機構(長いよ!)が新たに加えた審査基準、「架装等により車両重量が増加した乗用自動車等の審査(4章-20)」内に記された車両総重量に関する審査規定だ。
架装を行い、なおかつ制動装置に変更のない乗用自動車の車両総重量は車検証記載値の1.1倍以下に抑えること!って?
のっけからわけわからんちんな規定だが、要は、「クルマを買った後で純正ブレーキのままオーディオやベッドキット、大径ホイールなどを取り付けた場合、クルマの重さが車検証に書いてある車両総重量の1.1倍以上になると車検を通りませんよ」ということだ。これはもちろん、車重が極端に増えると純正ブレーキの制動性能を越えてしまう恐れがあるため、その危険性に歯止めをかけたいということ。逆に1.1倍程度であれば問題はないということでもある。
ちなみに「車両総重量」とは「車両重量」(ノーマル状態の車重+燃料や冷却水、オイル等、走るのに必要なもの)に乗車定員分の人の重さ(ひとりあたり55kgで換算)を加えたもの。例えば50プリウスの車両総重量は約1,650kg。その1.1倍ということはその差165kgまでは架装できるということだ。
しかし、通常、165kgもの架装というとイメージできるのは東京オートサロンなどのカーイベントで見かけるオーディオカスタム車や内装に家具やディスプレイを施した1BOX車やミニバンくらいのもの。ホイールを3インチアップしたとしても重量はさほど増えるものではないし、タービンやスーパーチャージャーを後付けしたチューニングカーでもこの重量に達するパーツを付けるということはまず考えられない(クルマの走行性能をアップさせるのに過剰に重くしてどうする?w)。いずれにしてもショーカーレベルの架装をしない限りこの規定に触れるということはまず、ないと言っていいだろう。