三菱電機が自動運転の実用化に向けて、実証実験を開始する。従来の数メートル程度の測位精度よりも細かい、センチメーター級の信号を用いているのが特長となる。
三菱電機株式会社は、世界で初めて※1、準天頂衛星システムからのセンチメーター級測位補強サービス(以下CLAS※2)信号を用いた自動運転の実証実験を9 月19 日から高速道路で開始した。実際の道路環境下で実験を行うことで、CLAS 信号と高精度3 次元地図を活用するインフラ型走行が実用可能なことを確認し、ミリ波レーダーやカメラなどの周辺センシング技術を活用する自律型走行とあわせ、自動運転の実用化を目指す。
CLAS とは……
内閣府が整備する準天頂衛星システムから日本全国に無償で配信される高精度測位値を得るための測位補強情報のこと。
CLAS の運用開始は2018 年4 月から予定され、現在は試験サービス期間中。自動車の安全運転支援や自動運転をはじめとするさまざまな分野での利用が期待されている。
これまで日常で使用している衛星測位は、米国GPS 衛星を代表とするGNSS 衛星※3 からの測位信号を利用したもので、衛星が持つ誤差(衛星軌道・衛星クロック・衛星信号バイアス誤差)と測位する地域による誤差(電離層・対流圏遅延誤差)を含み、測位精度は数メートル程度となる。CLAS はこの測位精度を向上させるために、国土地理院が設置している電子基準点網を活用して衛星や地域毎の誤差を補正する測位補強情報を生成し、準天頂衛星経由でユーザーに配信する。ユーザーは、CLAS 信号を受信できる高精度測位端末(高精度ロケータ※4)を使うことで、自らの位置をセンチメーター級で把握することができる。
※3 Global Navigation Satellite System 全地球測位衛星システム
※4 自動車の自車位置を高精度に推測する車載ユニット