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SKYACTIV-Xの特徴をとらえてみる


予混合圧縮自着火かと思っていたら点火プラグを使うという。しかも燃料供給は直噴。もはやディーゼルエンジンにも思えるマツダAKYACTIV-Xのプレゼンテーション。説明は概念だけ、詳細の発表は一切なし。でも、資料のなかに一枚だけ、詳しく様子がわかる画像が載っていました。

先般開催され、世界中がどよめいたマツダSKYACTIV-X。圧縮着火だけど点火プラグを用いて火種とし、予混合じゃなく直噴でスーパーリーン。ううむ……勢いがありますねえ、マツダ。




当日に用いられたプレゼン資料に一枚だけ、実際のエンジンの姿がうかがえるスライドがあります。伝え聞くところでは間違って出しちゃったとかそうでないとか。見る人が見るとわかっちゃうからとか。そう聞いて、じゃあちゃんと眺めてみようと思い立ちました。




解像度があまり高くないのでギリギリまで大きくして、気がついたのが6点。




 (1)の黄色い部品


 (2)の位置


 (3)の方向


 (4)の数


 (5)の存在


 (6)の黄色い部品




です。

1は円筒型をしているのが見て取れます。奥側にあるのは、どうやらリブベルトを受けるプーリ。「高応答エアー供給機」につながっていることから考えるに、どうやら機械式過給機でしょう。内部圧縮があるタイプ(リショルム)か、ないタイプ(ルーツ)か、残念ながらこれだけだとよくわかりませんが、筐体からは一軸式に見えますね。




2は点火コイルです。4本あるから直列4気筒なのがわかりますが、気になるのはその向き。これ、ひょっとすると側方から点火プラグが差さっていないでしょうか。直打式のOHCでは側方配置が主流でしたが、ペントルーフ型燃焼室に4バルブであれば点火プラグは燃焼室中央がほとんど。直噴が現れて完全中央の位置は明け渡していますが、それでも4つのバルブの間。でも、この画像からはそう見えません。気になります。




3は直噴用の燃料供給管。引き出し線のうねうねは各気筒に刺さる管で、どうやら燃焼室中央。特等席です。SKYACTIV-XはHCCI(予混合圧縮自着火)ではありませんので、燃焼室にインジェクタが直接備わります。空気を高容積比のシリンダー構造で極限まで高温高圧にして、燃料を噴くとともに点火プラグできっかけ作り──いわゆるディーゼルエンジンに似たサイクルをとるんだろうと想像します。下流をたどるとコモンレールが見えますね。さらにたどるとどうやらシリンダヘッド吸気側脇に備えられた高圧ポンプらしき存在もあります。




4はVVT。なんと吸気側のみならず排気側も電動式です。電動VVTは高価なことで有名で、何度もいろいろなエンジニア氏に聞かされました。レクサス用の1UR-FSE型が吸排気に装備した世界初でした。メリットは、高応答性と自律性。エンジン油圧が少ない/ない状態でも作動できること、その際の位相変えの速さが特長です。バルブオーバーラップを用いてEGRを筒内還流させる、圧縮着火サイクルと火花点火サイクルを即座かつスムースに切り替えるなどに不可欠なのでしょう。




5はEGRクーラ。水冷式で、おそらく触媒通過後に分流した排ガスを取り入れるのでしょう。管径が太いのが目につきます。大量のEGRを導入させるからでしょうね。




そのEGRクーラから管を受け取っているのが6の、おそらくEGRバルブ。受け取ったあと、奥に水色の管が2番3番の点火コイルの間、吸気マニフォールド(であろうところ)に入っていくのでしょう。下方にはスロットルバルブも見えますね。




圧縮着火サイクルの肝であろう高応答エアー供給機が、なぜこれほどまでブロック下側まで伸びるような構造なのか、気になります。過給機+EGRバルブが吸気マニフォールドにつながっているのは想像できるのですが──内部圧縮がある機械式過給機だから水冷インタークーラを併設? 実機をじっくりと眺めてみたいですね。

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