いよいよ夏本番を迎えているドイツ。ドイツに住む人々は、ドイツの夏が短いということを身に染みて知っているので、天気のいい日にはとにかく野外に出て遊びます。多くの川や湖に囲まれた首都ベルリンで人気のある遊びといえば、ヨットや船でのクルーズ。休日ともなれば、2人乗りくらいの小さなヨットから20人乗りクラスの豪華クルーザーまで、大小さまざまな船が河川に浮かびます。
今回ご紹介するのは実物の船ではありませんが、「小舟」の名の通り、可愛らしいスタイリングがドイツでも人気のイタリアン・オープン2シーター、フィアット・バルケッタです。
抑揚の効いたスタイリングが魅力
1989年に登場した初代マツダ・ロードスターの成功を受けて、1990年代は多くのオープン2シーターがデビューしました。メルセデス・ベンツSLK、MG F、BMW Z3、ポルシェ・ボクスター。それぞれのメーカーが、自社の哲学を反映させたモデルを発表していく中、フィアット・バルケッタは1995年にデビューしました。バルケッタ(Barchetta)とは、イタリア語で「小舟」を意味します。全長3,920mm、全幅1,640mmのコンパクトなボディと、まさに小舟を思わせる抑揚の効いたスタイリングで、フィアット・バルケッタは一躍人気者に。日本にも一時期、かなりの数が輸入されていました。
フィアット・バルケッタは、1995年〜2002年に生産された前期型と、2004年から2005年に生産された後期型(ニューバルケッタの名前で知られています)にわけられます。今回撮影したのは前期型。後期型に比べてシャープでソリッドなスタイリングが特徴です。前期型と後期型で外観の変更はあったものの、内部のメカニズムについては大きな変更点がないまま、最後まで生産が続けられました。