今から12年前の話である。その日、自分はテリー伊藤さんとMJブロンディさん(清水草一さん)の共著となる書籍『間違えっぱなしのクルマ選び2006 男なら雲上CARを目指せ!』(ロコモーションパブリッシング)のベースとなる対談を収録するため、都内某所のテリーさん事務所にいた。
「金持ち」の基準は年収1億円か、それとも1000万円か?
対談が始まり、清水草一さんはテリー伊藤さんに尋ねた。「ところでテリーさん、“金持ち”と言える年収っていくら以上だとお考えですか?」
テリーさんは即答した。
「億だね。男は年収1億以上でしょう、やっぱり」
清水さんはあせった。「億」という単位にビビったわけではなく、そのハードルの上がりっぷりにあせったのだ。
清水草一さんってほら、「極端なことばっか言ってる人」というパブリックイメージがありますが、実際は「慶應高校→慶應大学→集英社の社員編集者」というカタい経歴の人ですから、バランス感覚に優れる人なんです。
清水さんは言った。「……テリーさん。それだとさすがに読者が超絶少数になってしまうので、とりあえず『年収1000万円=金持ち』ということにしませんか?」と。
それに対してテリーさんは、不服というよりは「ふーん、そうなんだ? 知らなかった。じゃあとりあえずそれで話を進めましょうか」的なリアクションを取り、対談は無事に始まった。
「金持ち」の基準を「年収1億円」としたテリー伊藤さん。それはちょっとハードル高すぎということで、「とりあえず年収1000万円」とした清水草一さん。
どちらが正しかったのかは何とも言えない。というかその書籍のマーケティング的には、「とりあえず1000万円」とした清水さんの判断が明らかに正解だったのだろう。
年収1000万円プレイヤーの実態
しかし12年後の今、その書籍のマーケティングとはまったく無関係の身になって思うのは「……テリーさんが正しかったな」ということだ。や、「金持ち=年収1億円以上」なのかどうかは相変わらずわからないが、少なくとも「金持ち=年収1000万円」でないことだけは明白だ。