ドイツ現地レポ、と名乗りつつも、かなりの割合で「ドイツ産ではないクルマ」を取り上げている本コーナー。先日も、愛嬌のあるフランス産フルゴネットを雨の中で見かけたので、思わずシャッターを切ってしまいました。撮影場所はドイツのベルリンですが、石畳の上に佇んでいる様子を見ると、まるでパリの街角に迷い込んでしまったかのよう。今回の主役は、シトロエン2CVベースの商用車、AKです。
AKはシトロエン2CVの派生モデル
シトロエン2CVと言えば、CLでも何度も登場したフランスを代表する大衆車のひとつですね。2CVはフランス語でドゥ シュヴォー(deux chevaux)と発音します。deuxは数字の2、chevauxは馬を表すchevalの複数形で、2CVで「馬2頭」「2馬力」という意味になります。実際の出力はもう少し大きく、当初は9馬力からスタートし、最高で32馬力に達しますが、今の基準から考えると驚くほどの低出力です。しかし、最初の9馬力モデルでも最高速度55キロ、後期モデルでは最高速度110キロに達しますから、非常に効率よくエンジンパワーを使うことができる、高効率のクルマということもできるでしょう。
そんなシトロエン2CVをベースに、4つあるドアの後半部分を荷室として軽貨物車両としたのが、AU、AZU、AKと呼ばれるクルマたち。今回写真に収めたのは、背の高いボックスを背負ったAK 400(AK-S)と呼ばれるモデルです。2CVはもともと車高が高くひょろりとした雰囲気のクルマですが、このAKはさらに200mmほど高くなっているので、全高はなんと1,850mmに達しています。全幅は1,500mmほどしかないので、見た目にもかなり縦長な印象を受けますね。2CV独特の「思い切りロールしながら曲がる足回り」を想像すると、高速道路で横風に吹かれたり、荷物満載で急ハンドルを切ったりした場合は、かなりヒヤッとするかもしれません。