1月も半ばを過ぎて、ドイツのベルリンはどんよりとした冬空に覆われる日がとても多くなりました。日が差すことはほとんどなく、かわりに時々パラパラと雪が降るような天気が続いています。
夏の間にたくさん見かけたオープンカーも、今では幌を締め切ってひっそりと街を流している…そんなスポーツカー受難のこの季節に、独特の低く唸るような、それでいて乾いた排気音を響かせて、1台のポルシェが目の前にあらわれました。最後の空冷エンジンモデル、ポルシェ911ターボ(タイプ993)です。
コンパクトな車体が新鮮に映る
同じ911でも、それ以降の水冷モデル(996、997、991)に比べてはっきり「小さい」と実感するサイズ。
現行911である997と比較すると、997ターボが全長4,507mm×全幅1,880mm×全高1,297mmに対し、993ターボが全長4245mm×全幅1,795mm×全高1,285mmですから、全長は約260mm、全幅は約90mmも大きくなっているんですね。993ターボの発表当時、993カレラの65mm増しで非常にグラマラスに見えたリアフェンダーも、数字だけで見ると1,800mmを切っていたんだな、とあらためて気付かされました。
993のターボモデルは、911ターボでは初めてツインターボチャージャーを搭載し、水平対向6気筒エンジンの各シリンダーバンクにそれぞれ小型のターボチャージャーを組み込んで、ターボラグの低減を図りました。3.6リッター・ツインターボエンジンの最高出力は408psで、最大トルク54.0kgmという強大なトルクにより、0-100km/h加速は4.5秒、最高速度290km/hという性能を誇りました。
959が描いた911の未来像
1995年に発売された911ターボは、1996年の911ターボSで最高出力を430psに引き上げ、最終年の1998年、911GT2でついに450psに到達します。450psと言えば、1986年に発表されたスーパーポルシェ、959と並ぶ数値です。