目次
「東国三社」巡りはバスツアーが便利
いざ、「東国三社」巡りへ!
日本神話最強! 勝利の神様が祀られた「鹿島神宮」
井戸がご神体! 縁結びと交通安全の「息栖神社」
いろんなご利益あり! 参道商店街も楽しい「香取神宮」
「東国三社」巡りで、ご利益はあったのか?
「東国三社」って?
「東国三社」の三社とは、茨城県鹿嶋市にある「鹿島神宮」、茨城県息栖市にある「息栖神社(いきすじんじゃ)」、千葉県香取市にある「香取神宮」のこと。この3つの神社が「東国三社」と呼ばれるのは、「鹿島神宮」の武甕槌大神(たけみかづちのおおみかみ)、「息栖神社」の天鳥船神(あめのとりふねのかみ)、「香取神社」の経津主神(ふつぬしのかみ)の三柱の神が、天照大神に天界から派遣されて地上を譲るように迫った「国譲り」神話に由来しているんだそうです。
この三社に参拝する「東国三社参り」は「下三宮参り」と称されて、お伊勢さまに参拝したのと同じご利益がいただけると考えられ、「ご利益がすごい!」と江戸時代から大人気でした。また関東より北に住む方が、お伊勢参りのあとに行く「禊の三社参り」としても信仰を集めていました。
現代では「関東有数のパワースポット」としても名を馳せる三社ですが、「息栖神社」を頂点にして二社を結ぶと二等辺三角形となることから、「その中では不思議なことが起こる」という噂まであるそうで、すごいぞっ。
そのほかにもすごいことが色々あって、「東国三社」には、ある地域の中で最も社格の高いとされる神社「一宮」が二社もあったり(「鹿島神宮」はかつての常陸国、「香取神社」は下総国の一宮です)、「三大神宮」のうちの二社が含まれていたり(平安時代の『延喜式神名帳』では、「伊勢神宮」に加えて、「鹿島神宮」と「香取神宮」が「三大神宮」といわれています。※『日本書紀』による他の二社の説もあり)するのでした。
「東国三社」巡りはバスツアーが便利
公共機関で巡ろうとするとわりとたいへんな「東国三社」ですが、バスツアーに参加すれば日帰りで気軽に三社を巡れます。
一人で参加する方も多く、車内ではちらほら神社やパワースポットがお好きな方たちの情報交換なども行われていました。そこで私もお好きな方たちのおすすめの神社を聞いたり、「御朱印が値上がってたいへん」とのお話を聞いて「物価高の影響が、神社にも……!」なんて学んだり、一人でも楽しく過ごせました。
ツアーでは各社の説明もしてもらえるので初心者にもやさしく、詳しい方もよりいっそう楽しめそうですし、御朱印を集められている方も、希望者全員が頂けるようなタイムスケジュールが組まれており、安心して参加できました。
いざ、「東国三社」巡りへ!
「東国三社」が相当すごいことがわかったところで、「東国三社」巡りへ出発進行! バスツアーで巡った「鹿島神宮」「息栖神社」「香取神社」を一社ずつ、ご紹介をして参ります。
まずは見どころのダイジェスト動画もご覧ください。
ちなみに、「東国三社」巡りに正式な順番はないそうですが、防人・武士が旅立つ際に道中の無事を「鹿島神宮」に祈願したことが語源となり、現在も旅行に出発することを「鹿島立ち」と言うとか。そのため、最初に「鹿島神宮」を参拝するのがよいという説もあるそうです。
日本神話最強! 勝利の神様が祀られた「鹿島神宮」
鹿島神宮ってどんなところ? 神様は? ご利益は?
「鹿島神宮」は、東京ドーム15個分の敷地を誇る広大な神宮。関東・東北に約600社ある鹿島神社の総本社で、常陸国の一宮でもあります。
ご祭神は武甕槌大神(たけみかづちのおおみかみ)という日本神話最強の武神であり、勝利の神様。かつて源頼朝や徳川家康も戦の勝利を祈願した神社で、勝負事、仕事や人生における開運のご利益があるといわれています。だから、なにかを始めようとする時に、訪れるのに最適な神社なんだそうです。
見どころ
「大鳥居」をくぐって進むと現れる朱塗りが美しい「楼門」は、水戸初代藩主の徳川頼房が寄進したもので、日本三大楼門の1つです。「楼門」をくぐるとすぐ右手に「社殿」がありますが、「社殿」への参拝の前に、すぐそばにある摂社の「高房神社」を参拝するのが古くからの習わしとのこと。こちらには、建葉槌神(たけはちのかみ)が祀られています。
本殿・石の間・幣殿・拝殿の4棟からなる「社殿」は、元和5(1619)年、徳川2代将軍の秀忠公が寄進したもので、重要文化財に指定されています。「本殿」には「和魂」(にぎみたま=穏やかな魂)が祀られ、「奥宮」には「荒魂」(あらみたま=荒ぶる魂)が祀られているとのことで、「本殿(拝殿)」への参拝では日々の感謝をして、「奥宮」への参拝ではお願い事をすると叶いやすいとも言われているそうです。いろいろありますね。
参拝後は「奥参道」を通って「社殿」から「奥宮」へ向かいます。
「奥宮」に向かって300mほど伸びる「奥参道」は鬱蒼とした巨木に覆われ、荘厳な雰囲気でした。途中には「鹿園」があって、30頭ほどの鹿が出迎えてくれます。「鹿島神宮」では、鹿の神である天迦久神(あめのかくのかみ)が「国譲り」神話において、天照大御神の命を武甕槌大神に伝える重要な役割を担ったことから、鹿が神の使いとして大切にされています。
無事「奥宮」へ到着。お参りをしたのち右奥へ進むと、そこには太古から信仰の対象とされてきた地震封じの「要石」が鎮座していました。アニメでもフューチャーされた「要石」ですが、「鹿島神宮」の要石は凹型、「香取神宮」には凸型の要石があって、「鹿島神宮」の要石は地震を起こすと考えられていた大ナマズの頭を、「香取神宮」の要石は尾を押さえているんだとか。
「奥宮」に戻って今度は左奥へ進むと、古くから「禊の場」となっている「御手洗池」があります。1日40キロリットル以上の清水が湧き出しているそうで、手を清めたり水を汲んだりする人で賑わっていました。近くには茶屋もあって、ゆったりとした時間が流れています。
鹿島神宮へのアクセス
・東京駅から高速バス「かしま号」で2時間、「鹿島神宮」停留所下車
鹿島神宮
井戸がご神体! 縁結びと交通安全の「息栖神社」
「息栖神社」ってどんなところ? 神様は? ご利益は?
千葉県息栖市にある「息栖神社」はほかの二社に比べるとこじんまりしており落ち着いた雰囲気。1000年以上の歴史があるといわれる神社です。
主祭神は久那斗神(くなどのかみ)で、併せて天鳥船神(あめのとりふねのかみ)、住吉三神が祀られています。天鳥船神は『古事記』に登場して「鹿島神宮」に祀られている武甕槌大神(たけみかづちのおおみかみ)の案内役を務めた神様。そのため、海上・交通安全にご利益があるといわれています。
また、ご神体となっているのが、「日本三霊泉」の1つにも数えられる、一の鳥居の両脇にある「忍潮井(おしおい)」という井戸。中にある2つの瓶はそれぞれ「男瓶(おがめ)」と「女瓶(めがめ)」と呼ばれ、男女で自分の性別と逆の井戸の水を飲むと結ばれるという言い伝えから、縁結びのご利益があるといわれています。
見どころ
到着後、境内方向ではなく、まず利根川を目指すと川をバックに「一の鳥居」が見えてきて「忍潮井」がありました。昔は船を使っての「東国三社」巡りが盛んで、川岸からお参りが始まったそうです。
戻って「二の鳥居」をくぐると「手水舎」がありました。現在、「忍潮井」の井戸の水は汲めませんが、同じ水源の水がこの「手水舎」に湧いているそうで、「お水取り」スポットになっています。この湧き水は、地元の方たちに「神様のお水」と呼ばれて、大切にされているそうです。
さらに「神門」をくぐると左側にかつて若者たちの力比べに使われたという「力石」が、ほか「御神木」を筆頭に、「招霊(おがたま)の木」「那岐(ナギ)の木」など、色々な木があちこちにありました。
そして「社殿」へお参り。「息栖神社」の「社殿」はぐるっと見て回れました。
息栖神社へのアクセス
・JR総武線(成田廻り)小見川駅下車、タクシーで10分
・JR鹿島線 鹿島神宮駅または潮来駅下車、タクシーで20分
息栖神社
いろんなご利益あり! 参道商店街も楽しい「香取神宮」
「香取神宮」ってどんなところ? 神様は? ご利益は?
千葉県香取市にある「香取神社」は、日本全国に約400社ある香取神社の総本社で、下総国の一宮でもあります。
ご祭神は「鹿島神宮」に祀られる武甕槌大神(たけみかづちのおおみかみ)とともに出雲に遣わされた経津主大神(ふつぬしのおおかみ)。一般に家内安産、産業指導、海上守護、心願成就、縁結、安産の神として信仰されており、また平和・外交の祖神として、勝運、交通安全、災難除けの神としても有名です。
武甕槌大神と経津主大神はペアで祀られることも多く、位置的にも「香取神宮」は「鹿島神宮」と利根川を挟んで対になる場所にあります。
見どころ
バスを降りると現れるのが、にぎやかな「参道商店街」。各商店を眺めながらそぞろ歩いてゆくと、立派な「一の鳥居」が出迎えてくれました。玉砂利の表参道を歩いて「総門」をくぐりぬけ「楼門」へ。
いよいよ現れた「本殿」は、元禄13(1700)年に徳川幕府によって建立。屋根は檜皮葺で黒漆を基調としており、重要文化財に指定されています。
「香取神宮」は「香取の森」と呼ばれ、12万3,000平方メートルに及ぶ広大な境内にはたくさんの老杉がうっそうと茂っています。別名「亀甲山」とも言われるよう、山の地形となっており、散策しがいのある神社です。そして、「香取神宮」には「鹿島神宮」と同じく、荒魂を祀る「奥宮」と、対になるように霊石の「要石」があります。
香取神宮へのアクセス
・東京駅から関鉄グリーンバス「鉾田駅行き」で香取神宮前下車、徒歩5分
・浜松町駅、東京駅から京成・千葉交通バス「銚子行き小見川ルート」に乗って佐原香取(佐原IC)下車、徒歩15分
香取神社
「東国三社」巡りで、ご利益はあったのか?
私はこれといって信仰心も向上心もない人間……。いままで神社にはあまり縁がなかったのですが、「始まりの地」と言われる「鹿島神宮」で「東国三社」巡りの無事を祈り、「息栖神社」ではお水をいただき、「香取神宮」で名物の草餅を買い、すっかり三社を満喫しました(俗!)。
また、どの境内も木々が茂り厳かで「森林浴」も存分にできたような……。その甲斐あってか、帰宅後ぐっすり眠れたし、翌朝お水で珈琲を淹れて草餅を食べたところどちらも美味しくって、たいへん幸せな心持ちになれました。その後も一週間、機嫌よく過ごせているので、存分にご利益があったように思われます!
神社に縁のなかった方もお好きな方も、ぜひ「東国三社」巡りへバスツアーで行ってみてはいかがでしょうか。
(かとうちあき)