夏は海や川など水辺で遊ぶことが多くなる季節。
気を付けていても、水辺では思わぬ事故に繋がることがあります。海では、知らぬ間に流されてしまう「離岸流」、河川では、複雑な地形による「急な深みと流れ」に注意が必要です。
今回は海と川における水難事故の原因と、現地での注意点、事前にできる対策について詳しく解説します。
令和5年における水難事故の発生件数
警察庁の「令和5年における水難の概況等」によると、令和5年には1667名の方が水難事故に遭い、そのうち死者・行方不明者は743名でした。海では約5割の368名、河川では約3割の248名の方が水難事故によって命を落としています。
海の水難事故の主な原因 「離岸流」
海における水難事故の主な発生原因は、「離岸流」です。
「離岸流」とは、岸から沖に向かって生じる強い流れのことです。基本的に海では、沖から岸に向かって流れが生じていますが、一部では離岸流のような、沖へと流れる海流も生じています。
幅は10mから30m、長さは100mほど。決して珍しい現象ではなく、毎年どこにでも発生する現象です。速い場所では秒速2mにもなり、浮き輪に乗っていると知らず知らずのうちに沖に流され、引き返せなくなる、とても危険な現象です。
「離岸流」の見分け方のポイント
まずは、海岸地形が凹んでいるところ。
よく見ると1点だけ白波がたっていない場所があります。これは沖に向かった流れ、すなわち離岸流が生じている証拠です。また、波の形が周りと違ったところ、ゴミの集まっているところ、海面が周りと比較してざわついているところも、離岸流が発生している特徴になります。
近くに人工構造物がある場所でも、白波がたっていない場合は、離岸流が発生していますので注意が必要です。こういった場所には近づかないように、事前に知っておくと良いでしょう。
「遊泳禁止区域では泳がない」ことや「ライフセーバーがいる海水浴場を選ぶ」、そして「当日の天気予報をこまめにチェックする」など、事前に把握できるところは調べておくと良いかもしれません。
「離岸流」に流されてしまったら…?
離岸流に流されてしまったときは、まず、あわてず落ち着くことが大切です。岸に向かって泳ぐのではなく、岸と平行に泳いで離岸流から脱出するようにしましょう。泳ぎに自信のない方は、無理に泳ごうとせず、浮くことに専念してください。可能であれば、まわりの人に流されていることを知らせて、沖に向かう流れがなくなったら、岸に向かって泳ぐようにしましょう。
川の水難事故の主な原因 「急な深みと流れ」
中学生以下の水難事故のうち、最も死者・行方不明者の数が多い場所は、実は河川です。
河川では、どういったパターンで事故が発生しやすいのでしょうか。
公益財団法人 河川財団の「水難事故の概要資料」によると、実は意外にも、浅い場所で水難事故に遭うケースが多くあるそう。水深の変化に気づかず、「急に深くなって溺れる」というものや、浅い場所だからと油断してしまい、想像よりも流れが速く、流されてしまうパターンが多くみられるそうです。
深い場所では、遊泳中に流されてしまったり、危険な飛び込みによる事故が発生しています。
また、水難事故の救助活動をしている際に流されるといったケースも多くみられます。
さらに、流されたサンダルや帽子などを追ってしまったり、急な増水により、中州に取り残されて事故に遭ってしまう事例も後を絶たちません。
川遊びで注意するポイント!
①川の地形を確認し、危険な場所には近づかないこと。
浅いと思っても突然深くなる場合があるので、膝ぐらいまでの深さを目安に遊ぶようにしてください。川には、「危険を示す掲示板」が設置されている場合があります。そういった場所では、決して遊ばないようにしましょう。
②天気予報を入念に確認し、川の上流で雨が降っていないかを確認してください。
注意報や警報が出ている場合や、水が濁ったり、落ち葉が流れている時は、現地で雨が降っていなくても急に増水する可能性があります。そういったときは、直ちに川から離れましょう。
③子供たちだけでは川に行かせず、必ずライフジャケットを着用するようにしてください。
④子供と遊ぶときは大人が下流側に立ち、流された際に救助できる体制を整えておくことも大切です。
今回ご紹介した注意点に気を付けて、夏休みの海や川遊びを安全に楽しんでくださいね。