日本の冬は、日本海側で湿潤、太平洋側で乾燥するという話を聞いたことはありませんか?冬は、日本海側の新潟などに比べて、太平洋側の東京などは、相対湿度が低い傾向にあります。でも、本当に日本海側は乾燥していないのでしょうか。
実は、日本の冬はほとんどの地域で、砂漠より乾燥していると言えます。このことを、絶対湿度を用いて説明しました。また、絶対湿度の異なる環境で肌年齢を測定し、絶対湿度と肌年齢の密接な関係を確認しました。
相対湿度・絶対湿度って何?
一般的に私たちが「湿度」と呼んでいる(天気予報でよく見る)ものは「相対湿度」のことを指します。相対湿度は「空気中の水蒸気量」÷「飽和水蒸気量」×100で求めることができます。飽和水蒸気量とは、単位体積あたりに含むことができる水蒸気量のことで、暖かいほど多くなります。
飽和水蒸気量が気温によって異なることから、同じ相対湿度でも空気中の水蒸気量は、
気温によって変わってしまいます。たとえば、同じ相対湿度80%でも、空気中の水蒸気量は、気温20℃の場合は13.8 g/㎥、気温30℃の場合は24.2 g/㎥と、気温が高いほど水蒸気量が多いことが分かります。なお、この「空気中の水蒸気量」を「絶対湿度」とも呼びます。この「絶対湿度」が乾燥に大きく影響してくるのです。
日本の冬は砂漠より乾燥していると言える理由
砂漠の相対湿度は約20%とよく言われます。札幌、新潟、東京、大阪の2月の相対湿度の平年値はそれぞれ68、74、52、60%ですから、この数字だけを見ると砂漠より乾燥しているとは言えません。
しかし、冬はそもそも気温が低いです。気温が低いと、飽和水蒸気量も少なくなることから、空気中に含まれる水蒸気量(絶対湿度)も、少なくなりやすいです。砂漠の相対湿度を20%、気温を40℃とすると、絶対湿度は10.2 g/㎥と求めることができます。同様に札幌、新潟、東京、大阪の絶対湿度を2月の気温の平年値から求めると、それぞれ2.7、4.4、3.8、4.5 g/㎥となります。絶対湿度を計算すると、日本の冬はほとんどの地域で、砂漠より乾燥していることがよく分かりますね。
肌年齢と絶対湿度は密接に関係している?
肌年齢と絶対湿度がどのくらい関係しているのでしょうか?絶対湿度の異なる、ベランダ、居室、お風呂場で30分間過ごした後、肌年齢を測定しました。ベランダ、居室、お風呂場の絶対湿度はそれぞれ、3.0、7.7、18.7 g/㎥でした。
ベランダで測定すると、肌の水分は23%、肌年齢は37歳となりました。空気中の水分量が少ないことは影響していそうです。次に居室で測定すると、肌の水分量が33%と若干増え、肌年齢も31歳と若返りました。冬の屋外の環境が、いかに肌にとって過酷なのか、よく分かりますね。最後にお風呂場、肌の水分量が51%、肌年齢が実年齢の25歳に近い26歳と、一気に潤い若々しくなりました(お風呂場での使用は推奨されていないので参考値です)。
これらの結果から、絶対湿度は、肌の水分量・肌年齢に影響すると言ってよいでしょう。
気温が低いところで過ごす際には、空気中の水蒸気量が減りますから、保湿など、肌対策を頑張る必要がありそうです。
動画解説:植田純生