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うろこ雲はなぜできる?雲の見分け方とこの先の天気を読む方法


空高く美しく並ぶ「うろこ雲」。なぜあのような形になるのか、不思議に思ったことはありませんか?うろこ雲のふしぎな形を作り出す秘密は、実はみなさんの食卓に並ぶあるものの中に隠されています。
今回は、うろこ雲ができる理由をはじめ、いわし雲やひつじ雲との違いは何か、「天気下り坂のサイン」と言われることわざは本当なのか等、うろこ雲のさまざまな疑問について詳しく解説します。

空高く浮かぶうろこ雲

空高く浮かぶうろこ雲


うろこ雲ってどんな雲?

うろこ雲は、空高くに浮かぶ白い小石を並べたように見える雲で、魚のうろこのようにも見えることからそのように呼ばれます。
ただし、うろこ雲というは正式な雲の名前ではなく、国際的に決められた正式な名前は「巻積雲」といいます。巻積雲は、日本付近ではだいたい5000〜13000mの高さ、雲の中でも特に高いところに浮かぶ雲の一種です。
巻積雲は非常に変化の激しい雲なので、きれいに並んだうろこ雲を見られるのは意外と貴重なのです。

なお、巻積雲以外の雲の種類については、以下のページで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

・​​【十種雲形】雲は全部で10種類 見分け方を形や高さから解説!~上層雲編~
・【十種雲形】雲は全部で10種類 見分け方を形や高さから解説!~中層雲編~
・【十種雲形】雲は全部で10種類 見分け方を形や高さから解説!~下層雲編~

うろこ雲(巻積雲)と雲の種類

うろこ雲(巻積雲)と雲の種類


なぜうろこ雲ができるの?

うろこ雲は、なぜあんな風に小さな雲が群れになってできるのか、不思議ですよね。

暖かい空気が下、冷たい空気が上にある状態では、暖かい空気は軽いので上へ、冷たい空気は重いので下へ行くことでバランスをとろうとします。
このとき、暖かい空気と冷たい空気がお互いに一斉に移動しようとしても、ぶつかり合ってしまいうまく動くことができません。すると、お互い譲り合いながら移動しようとして、上に動く部分と下に動く部分が交互にできます。上昇するところだけ雲ができるので、小さな雲が並ぶようになります。
これを専門用語では「べナール型対流」といいます。

べナール型対流は、私たちの普段の生活の中でも見ることができます。それは、お味噌汁です。お味噌汁の表面がもやもやしているようすは、お味噌汁の表面が冷めて上下で温度差が生じたためにできたべナール型対流です。お椀の中に、まさにうろこ雲ができている状態なのです。

うろこ雲を作り出す「べナール型対流」はお味噌汁でも確認できる

うろこ雲を作り出す「べナール型対流」はお味噌汁でも確認できる


うろこ雲、いわし雲、さば雲の違いは?

魚の名前がついた「いわし雲」や「さば雲」も、実はうろこ雲と同じ巻積雲の別名です。
雲のようすがいわしの大群や、さばの背中の模様のようにも見えることから、そのように呼ばれることがあります。

人によってどう見えるかの違いなので、どの名前で呼んでも間違いではありません。ただ、その見た目から、しま模様に並んだものをさば雲と呼ぶことが多いようです。

さば雲とさばの背中の模様

さば雲とさばの背中の模様


うろこ雲とひつじ雲の違い・見分け方は?

この仕事をしていると、よく「この雲はうろこ雲とひつじ雲のどちらですか?」と聞かれることがあります。そこで今回は二つの雲の違いと見分け方をお伝えします。

ひつじ雲は、その名のとおりひつじのような丸みのある雲が群れになっている雲で、うろこ雲と見た目がよく似ています。しかし、うろこ雲こと巻積雲とは別の種類の雲で、正式名称は「高積雲(こうせきうん)」といいます。
高積雲ができる原理は巻積雲と同じべナール型対流によるものですが、雲のできる高さが違います。巻積雲よりも低い、地上から3000mくらいの高さに浮かんでいます。また、うろこ雲がほぼ氷の粒だけでできているのに対し、ひつじ雲は高さが低い分、氷と水の粒でできています。

空一面に広がるひつじ雲

空一面に広がるひつじ雲

うろこ雲とひつじ雲を見分けるには、次のようなポイントがあります。

・色
灰色や影があればひつじ雲です。白の場合は大きさで判断する必要があります。
これは、ひつじ雲の方が厚さがあり、太陽の光を通しにくいからです。

・大きさ(見かけの幅)
雲の実際の大きさを測ることは難しいため、代わりに見かけの幅、つまり角度で測ります。
腕をまっすぐ伸ばした状態で、雲一つが小指で隠れるならうろこ雲、それより大きければひつじ雲です。

うろこ雲とひつじ雲の比較

うろこ雲とひつじ雲の比較


うろこ雲は雨の前兆って本当?天気を見分けるポイント

日本の天気に関することわざに、「うろこ雲がでると3日のうちに雨」というものがあります。このことわざには根拠があるため、比較的高い確率で当たります。

低気圧や前線の進行方向前面には、よく巻積雲や巻層雲(※)が現れることがあります。そして低気圧が近づくにつれ、だんだん低く厚い雲へと変わっていきます。つまり、うろこ雲があらわれ、空一面に広がったり、高積雲などのほかの雲に形を変えてたりしたときには、低気圧が近づいていることになるので、天気が下り坂のサインと言われているのです。
この場合、低気圧の大きさや進むスピードによりますが、うろこ雲がでてからだいたい1〜3日後には、雨になることが多いです。

※上空5000〜13000m付近に浮かぶ層状の雲

◆うろこ雲が出現し、天気が下り坂になった事例
関東で「うろこ雲」 天気下り坂のサイン(2020年11月26日)

低気圧の鉛直断面図(右が温暖前線、左が寒冷前線の雲のようす)

低気圧の鉛直断面図(右が温暖前線、左が寒冷前線の雲のようす)

ただし、なかには天気が悪くならないうろこ雲もあります。
例えば、うろこ雲が空の一部だけのとき、すぐに消えてしまうときなどには、天気が崩れる心配はありません。

◆うろこ雲が出現しても、好天が続いた事例
秋の風物詩 うろこ雲広がる(2018年11月01日)

うろこ雲は秋のイメージが強い雲ですが、実際は一年を通じて見ることができる雲です。ぜひ空を見上げて、雲を観察しながら、天気を予測してみてくださいね。


参考:気象庁「気象観測の手引き」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html

天気が崩れないうろこ雲もあります(2018年11月01日)

天気が崩れないうろこ雲もあります(2018年11月01日)

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