日本の国旗といえば白地に赤い丸が描かれた“日の丸”ですよね。日本に住んでいればほとんどの人が何も見なくても描けるほど簡単なデザインです。これに対し、世界には実物を見ながらでも描けないほど難しい国旗がいくつもあります。今回はデザインが特徴的で複雑な国旗の上級編をご紹介します。あなたはいくつ空で描くことができますか?
1.ケニア国旗
アフリカ大陸の東部、インド洋に面しているケニア(正式国名:ケニア共和国)。マラソンの強豪国として世界的に知られており、選手紹介の際などにテレビ等で国旗を目にすることがあります。日本でも割と知られている部類の国旗なので、なんとなくイメージはつくのですが…配色や細かい部分が難しくなかなか空で描くことはできません。
配色は上から黒、細い白地を挟んで赤、そしてまた白地を挟んで緑と割と覚えやすいのですが、中央にデザインされている模様が難しい。こちらは伝統的な槍と盾を組み合わせたもので、独立を勝ち取った際のケニアの誇りを示しています。なお、国旗の黒の部分は“人”を、赤の部分は“血”を、緑の部分は“大地”を、そして間の白の部分は“平和”を表しています。
ケニアの豆知識
ケニアといえば、ライオンやゾウなどの野生動物とマサイ族などに代表される伝統衣装に身を包んだ先住民のイメージがあるため、国土のほとんどが手つかずの大自然と思われがちです。しかし実際のケニアは東アフリカで最も経済発展している国の一つで、自由で開かれた民主主義国家です。首都ナイロビでは欧米の新聞や最新の科学雑誌などが簡単に手に入り、ITなどテクノロジー分野の発展も進んでいます。教育水準も他のアフリカ諸国より高く、優秀な人材を数多く輩出しています。
2.ウガンダ国旗
ウガンダ(正式国名:ウガンダ共和国)は先に紹介したケニアの西側に隣接する内陸国です。こちらの国旗は上から順に黒、黄、赤、黒、黄、赤の繰り返しですが、中央に複雑な模様のデザインがあしらわれています。これはホオジロカンムリヅルというウガンダの国鳥で、実物と見比べても違和感がないほどとても緻密に描かれています。本物そっくりなだけあって見ながら描いても難しいですよね。ちなみに黒は“アフリカ人”を、黄は“夜明けの太陽”を、赤は“民族の融和”を表しています。
ウガンダの豆知識
ウガンダは赤道直下の内陸国ですが、平均標高が1200mという高原地帯であるため、とても過ごしやすい気候です。また年間降水量も東アフリカ地域では最も多く、国土には湖や沼などが豊富にあり、いくつもの国立公園を有しています。ナイル川の源流ヴィクトリア湖をはじめ、美しい自然の宝庫であるウガンダは「アフリカの真珠」と呼ばれ、マウンテンゴリラやチンパンジーなど現在も多くの希少動物が暮らしています。
3.モンゴル国旗
中華人民共和国の北に位置するモンゴル(正式国名:モンゴル国)は大相撲にも多くの力士を輩出しており、日本と強いつながりを持つ国です。その国旗は赤地で青地を挟んだシンプルなものですが、左側の赤地に描かれている模様が、なかなかに難易度をかち上げてくれています。こちらの模様はソヨンボと呼ばれる国家の象徴で、かつてモンゴル語の文字として使用されていたソヨンボ文字を起源としています。上から、火・太陽・月・矢・槍・長方形・巴の形をあらわしており、モンゴル国民の自由や独立を象徴しているといわれています。
モンゴルの豆知識
モンゴルの国土は海に接していない内陸にあり、周囲を高い山々で囲まれています。そのため、年間の降水量は全国平均で約200~250mmと非常に乾燥しているのが特徴です。また平均標高も高いため冬が長く、首都ウランバートルでさえ年間平均気温がマイナス1℃と寒さが厳しい国です。今も遊牧民たちが暮らしているモンゴルは牧歌的な風情を体感できる人気の旅行先ですが、旅行の前にはしっかり防寒対策をしておきましょう。
4.カンボジア国旗
東南アジアのインドシナ半島に位置し、ベトナムやタイと接しているカンボジア(正式国名:カンボジア王国)。カンボジアといえばユネスコの世界文化遺産に登録されているアンコール・ワットが有名ですが、国のシンボルとして国旗にも描かれています。色数こそ少ないものの構成する線の数が極端に多く、暗記するのは至難の業。空で正確に描ける人は世界でもほとんどいないのではないでしょうか。なお、カンボジア国旗の青は“王権”を、赤は“国家”を、白は“仏教”を表しています。
カンボジアの豆知識
カンボジアは熱帯モンスーン気候で年間を通じて高温多湿です。そのため日本のような四季はなく、大きく乾季と雨季にわかれています。乾季は11月~5月頃で、気温や湿気が抑えられており観光にはベストなシーズンです。対して雨季は6月~10月頃で気温35度を超える日も多く、ジメジメと蒸し暑い日が続きます。雨季にカンボジアを訪れる場合、薄着で過ごすことが多くなると思いますが一点だけ注意が必要です。観光で必ず訪れたいアンコール・ワットですが、タンクトップやノースリーブ、短パンなど露出の多い恰好では入場できません。現役の宗教施設でもあるので、現地ガイドの説明を参考にして礼節をわきまえた恰好で訪問しましょう。
5.スリランカ国旗
インド南部のインド洋に浮かぶ島国スリランカ(正式国名:スリランカ民主社会主義共和国)。こちらの国旗のデザインを難しくしているのが右部に描かれた剣を持っているライオンです。これは、かつてスリランカに存在したシンハラ王朝以来のシンボルとされており、曲線も多く、実物を見ながらでも完コピするのはほぼ不可能です。また、ライオンがいる赤地の四隅に菩提樹の葉が描かれている点や、緑、オレンジ、赤の地色が黄色い枠で囲われているところも隠れた高難度ポイントです。
スリランカの豆知識
「インド洋の真珠」とも言われる緑豊かなスリランカは、かつてはイギリス連邦内自治国でセイロンという名前でした。当時からお茶の生産が盛んでスリランカ産の紅茶は「セイロンティー」の名で世界中に輸出されています。また、首都のスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテは世界で2番目に名前が長い首都としても知られています。あまりに長いので現地の人も「コッテ」と略して呼ぶそう。
実物を見ながらでも描くのが難しい世界の国旗の数々をご紹介しました。何も見ないですべて正確に描けたという人は流石にいなかったのではないでしょうか。しかしながら、世界にはさらに高難度の国旗が存在します。次回は実物を見ながらでも描くことが出来ない世界の国旗≪超難問編≫をご紹介したいと思います。