先日、東北地方で震度6を記録する地震が発生しましたが、日本はどこにいても地震リスクがあります。それに備えるために地震保険がありますが、保険の仕組みが少し難しく、加入したものの保険金を受け取れる条件などを把握していないケースがあるようです。
そこで、今回は地震保険についての基礎知識をまとめ、いざというときにどれくらい役立つのかについてご紹介します。すでに加入している人も、これから検討するという人もぜひ参考にしてください。
地震保険は火災保険とセットで加入
すでに知っていることかもしれませんが、地震が原因で発生した損害に対しては火災保険で補償を受けることはできません。阪神・淡路大震災では火災が広がりましたが、地震保険に加入していないと保険金を受け取ることはできず、東日本大震災の津波による被害も同じです。
地震による損害に備えるには、地震保険に加入しておく必要があります。ただし、地震保険は火災保険とセットになり、火災保険に加入せずに地震保険に加入するということはできません。また、すでに火災保険に加入しているという場合には、その保険に地震保険を追加することになります(解約して新規契約するのもOKです)。
加入する保険会社を選べないのは困ると思うかもしれませんが、地震保険はどの保険会社で加入しても保険料は変わりませんので安心してください。地震保険は政府が保険金の一部を負担する仕組みになっており、公的な要素が強いということもあって保険料が統一されています。
ポイント
・火災保険と地震保険はセット
・地震保険の保険料はどの保険会社でも同じ
補償されるのは火災保険の保険金額の50%まで
地震保険に加入すれば、地震による損害をすべて保障してもらえると思っている人もいるようですが、地震保険の保険金額は火災保険で設定した保険金額の30~50%の範囲と定められています。さらに保険金は下記のように損壊レベルによって、支払われる金額が変わります。
全損:地震保険の保険金額の100% (時価が限度)
大半損:地震保険の保険金額の60% (時価の60%が限度)
小半損:地震保険の保険金額の30% (時価の30%が限度)
一部損:地震保険の保険金額の5% (時価の5%が限度)
もし火災保険で建物の保険金額を2,000万円に設定していたら、地震保険の保険金額は最大1,000万円までしか設定できません。そして地震被害が大半損と判断されると、受け取れるのはその60%ということで、支払われる保険金は最大600万円ということになります。
このときの損害額は時価で計算されますので、もし建物の評価額が下がっていると、受け取れる保険金はさらに減ります。これではとても家を建て直せないと思うかもしれませんが、実は地震保険は家を建て直すための保険ではありません。
地震保険は、被災したときに生活を再建するためのサポートを行うことを目的としています。火災保険のように元の状態に戻すのではなく、しばらくの生活費やローンの支払いなどで困らないようにするために保険金が支払われます。
このように地震保険に加入したからといって安心というわけではなく、家を建て直すためには自分で貯蓄もしておく必要があります。
ポイント
・火災保険の50%が保険金額の上限
・建物の損壊レベルで保険料が変わる
・保険金額は時価で計算される
【参考】
補償内容|損保ジャパン
地震保険が必要かどうかの検討をしよう!
ここまでの説明で、地震保険がどのような保険なのか把握できたかと思います。その結果「地震保険は必要ないのでは?」と思った人もいますよね。地震保険は掛け捨てですし、そもそも日本の家屋は耐震強度が高く、地震で全損することもほとんどありません。
保険料は高額であるため、住宅ローンの返済がギリギリで生活にあまり余裕がない人は地震保険を不要と考えるかもしれません。ただし地震保険は、お金に余裕のない人にこそ加入が必要な保険です。
ローンの返済中に自宅が全壊したとします。そうなってもローンの返済は続きます。生活にゆとりがないので家を建て直す余裕はなく、かといって家賃を払うのも難しく、結局土地を手放すなんてことにもなりかねません。
地震保険に加入していれば、保険金によってしばらくは生活に余裕ができます。もちろん自分で地震に備えて十分な蓄えがあるなら地震保険は不要ですが、被災したときをイメージしてみて、お金に困ることになりそうなら、地震保険に加入しておきたいところです。
2010年には火災保険加入者の48.1%しか地震保険を付けていませんでしたが、東日本大震災以降徐々に加入者が増え、2019年には66.7%が地震保険を付帯しています。それだけ地震に備えようという意識が高まっています。
地震保険に加入しなくてはいけないということはありませんが、せめて必要かどうかの検討はしておきましょう。よく分からないから先送りするというのは避けてください。地震は突然やってきますので、いざというときに自分の家族や家を守るために、まずは検討することから始めてみましょう。
グラフで見る!地震保険統計速報|損害保険料率算出機構