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2月12日は菜の花忌!司馬遼太郎さんの小説を手に取ろう


春になるにはもう少し時間がかかりそうですが、川沿いには黄色い菜の花が咲き始め、河津桜もそろそろ見頃を迎えます。そんな2月12日は菜の花忌、司馬遼太郎さんの命日です。黄色い花が好きだったことと長編小説『菜の花の沖』を結びつけ、彼の命日を菜の花忌として、毎年「菜の花忌シンポジウム」が開催されてきました。
今年はコロナ禍ということもあり、シンポジウムは中止となりましたが、それぞれが司馬遼太郎さんを偲ぶことはできます。小説が苦手という人も、歴史を楽しみながら物語を楽しめる司馬遼太郎さんの歴史小説。今日は菜の花忌にちなんで、その魅力についてご紹介していきます。
【参考】
第25回菜の花忌シンポジウムについてのお知らせ|司馬遼太郎記念館

2月12日は菜の花忌(司馬遼太郎の命日)です

2月12日は菜の花忌(司馬遼太郎の命日)です


坂本龍馬のイメージを作り上げた『竜馬がゆく』

「歴史上の人物の中で、1番好きな人は?」と聞かれて、坂本龍馬を思い浮かべる人は少なくありません。芸能人でも坂本龍馬好きを公言している人もいますが、実はこの坂本龍馬のイメージのほとんどが、司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』によるものです。
『竜馬がゆく』は小説ですので、ある程度のフィクションが含まれています。ところがそのフィクションを本当にあったことだと思い込み、さらに小説の主人公である竜馬の魅力の虜になった結果、小説中の坂本竜馬像が実際の坂本龍馬の存在を飲み込んでしまいました。
幕末の物語の中で登場人物の1人でしかなかった坂本龍馬が、国民的英雄になるきっかけになったのが小説『竜馬がゆく』だったわけです。同じように悪役だった、新撰組を悲劇の英雄に仕立て上げたのも、司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』です。
賛否はともかく、これほどまでに私たち日本人の歴史観に影響を与えた作家さんは、後にも先にも司馬遼太郎さんだけかもしれない、と筆者は思います。そのようなことを可能にした理由はシンプルです。小説が面白かったから、多くの人が手にして、その歴史観に取り込まれていったのです。

司馬遼太郎さんの小説が坂本龍馬や新撰組のイメージを変えた

司馬遼太郎さんの小説が坂本龍馬や新撰組のイメージを変えた


司馬遼太郎さんの小説は難しい?

司馬遼太郎さんは、数々の歴史小説を書き上げましたが、その多くが歴史的人物を描いたもので、その歴史的背景を知っているため、誰もがすんなりと物語に入っていけます。ところが菜の花忌の由来となった『菜の花の沖』では、江戸時代の商人を主人公にしています。
江戸時代に淡路島の貧しい農家の長男として生まれた高田屋嘉兵衛が物語の主人公で、船乗りとして商才を発揮しながら成功者にのぼり詰めていく過程が描かれています。高田屋嘉兵衛は実在する人物で、こじれていた日本とロシアの関係を修復した人物として知られています。
NHKのドラマスペシャルでも取り上げられたこともある名作ですが、6冊からなる長編小説で、あまりの長さに最後まで読みきれずに挫折する人も多いと聞きます。司馬遼太郎さんの小説は『菜の花の沖』に限らず、読み始めることを「挑戦」と表現することがあるのです。
文体が古いというのもあってか、内容は面白くても現代人には文章がとっつきにくく、途中で放棄してしまうということがよくあります。このため、最近では、司馬遼太郎さんの作品は難しくて読めないという人も増えていますが、お家時間が増えた今こそ読み始めるのにぴったりです。

お家時間が増えた今こそ司馬遼太郎に挑戦

お家時間が増えた今こそ司馬遼太郎に挑戦


手軽に読み始められるおすすめの小説

そもそも普段から小説をあまり読まない人であれば、いきなり長編小説から始めるのは、多少無理があります。古い文体に慣れるためにも、最初は短めの小説から始めましょう。
・燃えよ剣
・空海の風景
・国盗り物語
・関ヶ原
このあたりは比較的読みやすくておすすめです。『燃えよ剣』は2021年10月に映画が公開されますので、今のうちに読んでおくと映画と合わせて2倍楽しめます。まずは読みやすい本から入り、文体に慣れてから、『菜の花の沖』や『竜馬がゆく』を読んでみましょう。
司馬遼太郎さんの小説は中古本でも多く流通していますし、図書館にもほとんどの小説が蔵書されています。もちろん本屋さんで購入するのもいいですし、持ち物を増やさないために電子書籍で読むというのもOKです。
最初は読みづらいかもしれませんが、読み進めていくうちに慣れて、気がつけば物語の世界に惹き込まれていきます。だまされたと思って、まずは手軽に読める短めの小説から始めましょう。読み始める1冊が決まったら、本とおやつをカバンに入れて、菜の花を探しながら近所を散策なんていかがでしょう。

短めの小説から始めれば最後まで読むことができます

短めの小説から始めれば最後まで読むことができます

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