スイカのおいしい季節です。カットされていないスイカを丸ごと1個買う時は、あっちのスイカ、こっちのスイカと叩いてみて、その音でおいしいそうなスイカを判断する、という方は多いと思います。でも、せっかく高いお金を出して買ったのに家で切ってみたら、「いまいち、熟していない」「中に空洞が…」という悲しい経験をしたことがある人もまた、いらっしゃるのではないでしょうか。では、実際にスイカを叩いた時に、熟している場合と、まだ熟していない場合とでは、どのように音が違うのでしょうか。さらに、叩いた時に、音ではなく、手に伝わる振動を利用すると、中に空洞があるかどうかがわかるといいます。今回は、音と振動を利用しておいしいスイカを選ぶ方法をお伝えします。
叩いた音で食べごろのスイカを見分ける。おいしいスイカはどんな音?
みなさんはカットしていない丸いスイカを叩いて、「おいしいのはどれかなあ」と悩んだことがありますか。実際には、スイカを叩いた音で判断する時は、糖度が高いかどうかがわかるのではなく、そのスイカが十分に熟していて、今が食べごろかどうかがわかるといいます。つまり、スイカが熟している度合いを叩いた音で判断するのです。
では、スイカを叩いたときの音は、未熟な場合、食べごろの場合、そして熟れすぎている場合で、どのように違うのでしょうか。
●まだ熟していない場合
「コツッ」という硬い感触の音や、「ポンポン」「パンパン」という高い音がします。これが、「ポーン」と抜けるような音になると、やや未熟ですが、あと少しで成熟します。
●食べごろの場合
「ボンボン」と澄んだように響きます。また、1回だけ叩いた場合は、「ビーン」とやや濁った感じの音がしたら食べごろです。
●熟れすぎの場合
「ドンドン」と鈍い音。「ボンボン」よりも低く重たい音がします。
参考
うご農業協同組合:JAうご産スイカ「光センサー夢あきた」
尾花沢市:尾花沢の夏スイカ
山形 味の農園:美味しいスイカの選び方
スイカに両手をあてて片方をたたく。反対の手に伝わる振動で空洞のあるなしをチェック
スイカが熟しているかどうかを叩いた音の高低で判断するとお伝えしましたが、音以外にも、スイカを叩いた時に手に伝わる振動を利用すれば、スイカの中に空洞があるかどうかがわかります。そもそも音も空気の振動です。その振動を耳で聞くのではなく、スイカの皮に触れている手で直接感じとることもできるはずです。
方法は簡単。まず、スイカをはさむように両手をぴったりと添えます。片方の手でスイカを叩き、もう片方の手で、振動の強さを感じとります。この時、けっして強く叩く必要はありません。指で小刻みに軽く弾く程度でOKです。
●中に空洞がある場合
中に空洞があると、叩いたほうから反対側の手に振動があまり伝わりません。これは、空洞があることによって振動が大きく減衰するからです。
●実がぎっしりつまっている場合
叩いた振動が空洞にジャマされずに進むので、反対側の手で、振動をより強く感じることができます。ほんの少し指で弾くだけで振動が伝わります。
このように、スイカを叩いて手に伝わる振動で、中の空洞を見つけることができます。空洞果を見つけるプロの検査員になると、1人で1日に数百玉、1ヵ月もの間、スイカを叩き続けるとか。スイカのシーズンが終わるころには手がグローブのように腫れてしまう、という逸話もあるそうです。おかげで私たち消費者は空洞のないおいしいスイカを食べることができるというわけです。
参考
NHK ガッテン「夏の幸せ丸ごとお届け! 極甘スイカ祭り」
JA全農とっとり「学んでみよう スイカ」
選果場では、あっという間に糖度・熟度と空洞をチェック
最近では、スイカを割らずとも、糖度や成熟度、空洞があるかないかをオートメーションで計測する、スイカの選果場が利用されることが多くなりました。
選果場では、大きさや形、中に空洞がないか、糖度はどのくらいかを光センサーなどで測定します。チェックされる項目がいくつかあり、それらが数値化され、基準に合格したものが市場に出回るので、「切ったら空洞が…」「甘くない…」といったスイカにはあまりお目にかかることはなくなりました。
参考
うご農業協同組合:「スイカ選果施設」
音や振動を利用したスイカの見分け方、機会があればぜひ実践してみてくださいね。