3月12日はサイフの日です。サイフはお金を持ち運ぶために使われるものですが、実はサイフの誕生は、私たち人間がお金を使いはじめてから長い年月が経ってからのことなんだそうです。
今回は、私たちの生活の身近にあるサイフの歴史を紐解いていきます。
物々交換から、硬貨の誕生まで
当然のことですが、サイフとはお金を持ち運ぶために使うものです。サイフの歴史を語る上で、お金の歴史は切っても切り離せないでしょう。まずは、お金の歴史から順に追ってみたいと思います。
お金が登場するまで、人々は物々交換をすることで欲しいモノを手に入れていました。しかし、物々交換には問題点があります。自分が持っているモノを相手が欲しがるとは限らないことです。これでは、欲しいモノを欲しい時に手に入れることができません。そこで人々は、比較的価値が下がりにくい塩や貝、布などを、お金の代わりとして使うようになりました。これを『物品交換』と言います。その後、金・銀・銅などの金属が物品交換に使われるようになりました。
ちなみに、世界最古の金貨と呼ばれているエレクトロン貨は、紀元前7世紀頃のリディア王国(現トルコ西部)で生まれた貨幣です。いびつではありますが、丸い金のプレートにライオンの刻印がされたエレクトロン貨は、私たちが普段目にする硬貨に通ずるものがあります。
紙幣の誕生とともに登場するサイフ
少し話は変わりますが、みなさんは『巾着切(きんちゃくきり)』という言葉をご存知でしょうか?巾着切とは、スリのことを指します。サイフが登場するまで人々は、巾着袋に硬貨を入れて持ち運んでいました。スリにもいろいろな手法がありますが、腰につけた巾着の紐を切るなどして金銭を奪うといった犯罪が起こっていたようです。これではおちおち買い物もできないですね。
そんな時代を経て、ついにサイフのもととなるものが登場します。
サイフが生まれるきっかけとなったのは、紙幣の流通でした。17世紀頃、ヨーロッパを中心に紙幣が使われるようになると、それを入れるためのケースが登場します。それが今のサイフの起源となったのです。そのケースは、紙幣を折りたたまずに収納するもので、今の長財布の起源となっているそうです。お金の登場とともにサイフが生まれたわけではなかったのは意外ですよね。
がま口は西洋生まれ?
お金を持ち運ぶ道具として誕生したサイフは、今ではファッション雑貨のひとつとして私たちの生活に根付いています。今では様々なデザインのものがありますが、その中でもレトロな雰囲気が漂う『がま口』は根強い人気を誇っています。
日本生まれと思われがちながま口ですが、実はがま口は、明治時代に西洋から日本にやってきました。日本にがま口を伝えたといわれる山城屋和助は、兵器の輸入のためにヨーロッパやアメリカを巡っている際、当時フランスで流行していたがま口の鞄やサイフを日本に持ち帰ります。それを真似して日本で売り出したことから、日本のがま口の歴史が始まったのです。当時のがま口は口金に真鍮が使われており、一部の富裕層のみが使うとても高価なものでした。しかしその後、安価な溝輪金の口金が登場したことで、一般の人々にがま口が広まっていったのです。日本でがま口が使われ始めたのは、案外最近のことだったんですね。
<参考・参照>
三菱UFJ銀行貨幣資料館
わらしべ瓦版
金投資入門
Gold Plaza
AYANO KOJI
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