7月7日新暦ではまだまだ梅雨のまっ最中、天の川が見えるチャンスは天候的にも環境的にも難しいことが多いですね。旧暦の7月7日頃になると、夏の大三角の2点をなす織女星のベガと牽牛星のアルタイルが天頂で輝き、夏の天の川も頭上に横たわります。暦は新しくしても天体の運行は厳然としています。それでもこの日を迎えるとやはり「笹の葉さぁらさら♪」と歌いたくなりませんか。星空を見あげる七夕にはもう一つ、願い事を短冊に書いて笹の枝につるし、叶うことを祈る行事とも重なっています。七夕の一夜の楽しみ方をあれこれ探してみました。
七夕は「乞巧奠(きこうでん)」ともいって習い事など上達を願う日でもあるんです
「乞巧奠」きこうでん、または、きっこうでん、ともいいます。漢字を分解しながら読み解くと「巧」技が巧みであることを「乞」乞い願って、「奠」供え物をしてお祭りすること、となります。これは中国から七夕の伝説とともに伝わった行事です。歴史は古く奈良時代には宮中の清涼殿で「乞巧奠」のお祭りが行われたそうです。織女から裁縫、牽牛から技芸に結びつけられたのかもしれませんね。
日々稽古したり練習したり、と励んでいることありますか? 春から始めたという方は、ちょっと飽きたり辛くなったりとスランプの時期かもしれません。長く続けている人はマンネリに嫌気がさしてきているかも、と感じていたら思いきって童心にかえって短冊に「上手になれますように」なんて書いて願ってみてはいかがですか? 商店街や人の集まるところでは大きな笹が据えられて、ご自由にどうぞ、と色とりどりの短冊を用意しているところもたくさんあります。目の端に七夕なんだなぁ、と足早に通り過ぎてしまいがちですが、ちょっと立ち止まって深呼吸するのもいいですね。たとえ雨でも曇りでも、その向こうには星が輝いていますから。
プラネタリウムで星空を思いきり楽しむのはいかが?
お天気に左右されることなく星空を満喫できるのがプラネタリウムですね。球体のドームに数々の星が映されると、宇宙の中心に身を置いたような不思議な安らぎを感じます。気軽に楽しめる施設を多くの自治体が提供していますし、光や音で演出したり寝そべって鑑賞できるような心地のよい椅子が用意されていたりと、最近のプラネタリウムは投映機の機能も一段と上がり、壮大な宇宙空間を堪能できる施設も多くなっているようです。
プラネタリウムの誕生は1923年のドイツでした。まだ100年経っていないのです。星を映し出す投映機は、カールツァイス社製Ⅰ型機で6等星を含む4500個の星を映せたそうです。日本で初めてプラネタリウムができたのは1937年で、大阪市電気科学館に開館しました。その時の投映機はツァイス社製Ⅱ型と進化しています。天井のスクリーンにまるで本物の夜空の星を再現するプラネタリウムの秘密は、恒星原盤という本物の星の位置と明るさを描き込んだ板にあります。光源から出た強い光が恒星原盤に開けられた穴を通り、レンズによって焦点を結んで星空が表れるのです。紙に開けた穴を通る光、という大変単純な考えのようですが、宇宙に存在する星々のひとつひとつを小さな恒星原盤に集約する、と考えるとその情報量の多さは想像を絶します。現在のプラネタリウムは宇宙空間を体感できるほどですからよりいっそうの素晴らしい進化を遂げているのだなぁと思いをめぐらせるばかりです。
梅雨時の七夕はプラネタリウムで天の川を鑑賞する、というのもちょっとステキなアイディアではありませんか。
思いきって天文台へ行って本格的に勉強してみる!
中央線三鷹駅からバスで20分、武蔵野の風情を残す静かな場所に国立天文台三鷹キャンパスがあります。天文学の中心となる研究機関ですが一般にも多くの天文情報を公開するとともに、見学コースを開放しています。今まで使われてきた望遠鏡、宇宙を体感できるように作られた散歩道、天文学の最前線で行われている研究成果の展示などを各施設をまわりながら楽しむことができます。
また同じ敷地内には「星と森と絵本の家」というロマンティックな展示の家があります。天文台の「星」武蔵野の「森」そして「絵本」の部屋のある、建物はかつて天文台の官舎だったもの。レトロで懐かしい趣きのある建物には、昭和の時代に使われていた道具類が置かれ、当時の生活が感じられるしつらえになっています。テーマ別に並んでいる本はこの建物の中では自由に読むことができます。「星」「動物」「地球」等興味に従って開いてみて下さい。
興味ある方はリンクに国立天文台のホームページを掲載していますから訪問の参考にして下さいね。梅雨の合間に天体を楽しむ、こんな手もあったんですよ!