10月に入り、プロ野球はシーズン終盤を迎えています。今年は大型の台風や地震の影響で、中止を余儀なくされる試合が多くあったため、9月から10月にかけてかなり過酷な試合スケジュールを組まなければいけなくなるチームも出てしまいました。
野球のように雨で中止になるスポーツもあれば、サッカーのように同じ屋外スポーツでも中止にならないスポーツもあります。なぜ、サッカーは雨でも中止にならないのでしょうか、今日はその理由に迫ります。
悪天候でも試合が成り立つボールの大きさとは?
雨でも実施される屋外スポーツといえば、サッカー、アメリカンフットボール、ラグビー、ゴルフといった競技がすぐに思い浮かびますね。
一方で、雨など悪天候で中止となってしまう競技は、野球の他にテニスなどが挙げられます。それぞれの違いとして明確なこととは、なんでしょうか?
ずばり、それは「ボールの大きさ」になります。フットボール系のスポーツはボールが大きいので、多少の悪天候でもボールを認識することができます。
しかし、野球などのボールが小さい競技は、悪天候時にボールを認識するのが大変です。また、野球はボールの硬さもなかなかのもの。もし、悪天候時に目測を誤ってボールが体に当たったら大変なことになってしまいます。
つまり、天候によって競技を中止にするか否かは、悪天候であってもその競技が成り立つかどうかが大きなポイントになってくるわけですが、ボールが大きいか否かもプレーを続行するかしないかの判断材料となるのです。
芝の上だからこそ、競技は続行可能?
もともと、サッカー競技には「雨の場合、中止」といったルールは明文化されていません。それはなぜなのでしょう……。
一説には、グラウンドコンディションの問題が、ルールを明文化していない理由のひとつとされています。プロの試合ともなれば、サッカー競技は芝の上でプレーすることになります。
でも、野球のグラウンドを思い出してみてください。芝の部分もあれば土の部分もありますよね。この違いから激しい降雨に見舞われた場合、土の部分のコンディションがかなり悪くなってしまうため、プレーに支障をきたす可能性が想定できるのです。
一方、雨に強い人工芝であれば、グラウンドコンディションが崩れ、プレーに支障をきたす可能性は低くなります。もちろんプレーをする選手にとっても、観戦するファンにとっても雨の日の試合は望ましいコンディションとはいえませんが、リーグの日程調整に苦しむことがないメリットもあります。
サッカーは、英国発祥のスポーツ
ご存じのとおり、サッカー発祥の地は英国です。英国といえば霧や雨が多く、晴れる日が少ないことから「雨が多い」または「曇天の空模様」の国としても有名ですね。
※英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで構成された国
でも不思議なことに「英国人は傘をささない」といわれていることをご存じでしょうか。
急な降雨に備えて、常に折りたたみ傘をカバンに常備する日本人と英国人では、根本的な気質の違いもあるようですが、いにしえから英国人の伝統的な雨具と言えば、そう外套です。
英国を代表するブランド・バーバリーのトレンチコートが有名なのは、雨が降ったら傘をさすのではなく外套を着る……という習慣があり、トレンチコートは寒さをしのぐ上着といったほかにも、雨具としても活用されているのです。
もちろん英国にも傘はあるのですが、英国人にとって傘はどちらかというと婦人用のもの……という位置づけにあるようです。
「雨だから中止する理由がわからない」といった英国人の感覚
傘をささない英国人の気質と習慣がわかると、「少しの雨なんか気にしない」という意識をもつ英国の人々が、「雨だから競技を中止する理由がわからない」といった感覚をもっていることも納得できますね。
ちなみに、ゴルフの発祥の地はスコットランドですが、ゴルフもサッカーと同様に雨が降っても強風が吹き荒れても、プレーは続行されます(雷は命の危険があるので雷鳴が聞こえた段階で試合が中断されます。また、基本的にグリーン上が冠水するなどフェアな競技進行が不可能と判断された段階で中断し、状況が回復しなければ最終的に中止になることもあります)。こうしたことから「ゴルフは自然との闘い」という言葉がよく知られています。
── 屋外スポーツを行ううえで雨や強風は敵になります。反面、屋根つきの会場は非常に快適ではあるものの、屋外スポーツが本来もつ魅力や醍醐味を半減する側面ももちあわせます。そうした目線で、あらためてサッカー、ラグビー、ゴルフを眺めてみれば、また新たな魅力が発見できるかもしれませんね!