春らしい気候から初夏・入梅へと移ろいゆく5月……。新たに社会人になった人たちも、少しずつ自分の生活リズムを身につけてきた頃でしょうし、学生のみなさんも「さぁ勉強!」というモードにようやく突入かもしれませんね。
そんな折、今日5月18日は「ことばの日」です。実は、ただの語呂合わせでもある記念日なのですが、あらためて言葉を正しく使えているかを振り返るには、よいきっかけとなるはず。さらに「言葉」といえば、少し前から注目を集めているのが「辞書引き学習法」です。この学習法は、いったいどんな効果があるのでしょうか?
辞書ブームの火つけ役
本が売れない、若者の活字離れ、紙媒体よりはネット……など、出版業界は苦しい時代に突入したと言われていますが、その一方で、堅調に売り上げを伸ばしている出版物があるのです。意外にもそれは「辞書」なのです。
電子辞書が普及するとともに調べものはネットで……といった人が増える中、「なぜ、いま辞書なの?」と思われる人も多いことでしょう。
実は、辞書の堅調な売り上げを後押しする要因のひとつが「辞書引き学習法」といわれているのです。
一言でこの学習法を説明すると「辞書にたくさんの付せんを貼っていく学習法」となりますが、「辞書引き学習法」が世に登場したのは約10年ほど前。ネットで文字検索や調べものしていた人が増えたこの頃から、逆に紙の辞書のよさが見直されたようなのですが、付せんを思いつくままにペタペタ貼っていく手法は、紙の辞書だからこそ成せるワザ……ともいえますね。
辞書引き学習法のやり方
一般的に辞書は、小学3年生頃から使うとよいといわれます。それはなぜかというと、高学年になるとある程度の言葉を覚えてしまっているため、わざわざ辞書を引こうとしなくなるから。こうした理由から「辞書引き学習法」では、言葉をもっとも覚えやすい(吸収しやすい)小学低学年から辞書を引くことを推奨しています。
「辞書引き学習法」の方法
その方法はいたってシンプルです。
◎本や新聞を見ながら、意味を調べたい言葉を辞書で引く。
◎その「言葉」と「通し番号」を付せんに書き込む(1日目は1〜10、2日目は11〜20のように)。
◎言葉が書かれた辞書のページに付せんを貼る。
◎ここまでを1セットとして、1日10セットの文字を調べる。
◎それを習慣化し、まずは100、次に200……という目標に向かって継続していく。
このシンプルな方法で言葉を覚えるスピードが格段にアップするうえ、「辞書引き学習法」が習慣化したあかつきには、辞書から膨大な付せんが飛び出た状態に。
実は、大量に貼られた付せんの山は視覚から得られる達成感となり、子どもの学習意欲をよりアップさせる効果がある、ともいわれているのです。
辞書引き学習法がもたらす効果
「辞書引き学習法」を通して言葉をたくさん覚えていくうち、子どもは“学ぶ楽しさ”を実感していきます。この“学ぶ楽しさ”を体得すると、国語だけではなく他科目を勉強するうえでも子どもの学習意欲は向上するといわれています。これはつまり、読み解く力(理解力)が向上するからなのです。
また、この「辞書引き学習法」を行う過程において、親が子どもに声をかけてあげると自然とコミュニケーションも増えていきます。子どもも学んだことを親に報告したくなるでしょうし、その喜びをともに分かち合えることは子どもの成長にプラスとなって働くはずです。
── 大人がやっても「辞書引き学習法」は新鮮に感じるはず。「あの漢字、どう書くんだっけ?」と思ったら「辞書引き学習法」にトライするチャンス。集中しやすい陽気の今こそ久しぶりに辞書を携えて、学びの時間を作ってみては。