桜の開花予報は今年も例年より早く、まだ寒いのに!と感じられる方もいらっしゃるのでは?
桜の開花は、実は桜の葉からでている花芽の眠りをコントロールする成分と関係しており、冬の寒さが厳しく春に暖かい日が続くといつもより早く花が咲きます。逆に暖冬で花芽が寒さに十分さらされないときには、暖かくなっても花が咲くのは遅くなる特性をもっているそう。
そんな桜ですが、華やかさと散りゆく潔さから、『優美』や『精神の美』という花言葉がよく用いられます。また「私を忘れないで」というロマンチックな花言葉もある一方では、浮気をした不実な男性に復讐や呪いの念をこめた花としても知られています。本日は、そんな桜よもやま話はじまります。
「正直」や「潔さ」から、別れの「切なさ」まで
ソメイヨシノ、ヒガンザクラ、山桜、八重桜、しだれ桜など様々な品種を楽しめる桜です。花言葉もそれぞれ異なるようですが、代表的な花言葉の「spiritual beauty(精神の美)」は、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンが子供のときに誤って父が大切にしていた桜の木を切ってしまい、正直にそれを告白したという逸話からきています。しかし実際にはワシントンが子供のころにはアメリカに桜の木はなかったともされているようです。八重桜の開花時期は、ほかの桜に比べて遅いため学校に植えられることも多く、子どもへの教育的な話を、花言葉にしたという説もあります。
お国が変わってフランスでは、桜のはかなさやせつなさから『Ne m’oubliez pas(私を忘れないで)』という花言葉で表しています。別れを選んだ恋人のせつない心を表して生まれたとも言われるこの花言葉ですが、新しい生活が始まる入学のシーンや卒業という旅立ちのシーンの象徴ともいえますね!
寂しさや名残惜しさを抱えつつ、また次の新しい生活への期待や不安、そんな人々の多様で複雑な想いを表す季節の花なのでしょうか。だからこそ、何かしら想いが投影され人の心をうつのかもしれませんね。
怨念をこめて送る花⁉
現代で隆盛をほこるソメイヨシノは江戸時代の交配からうまれたもので、古くは桜と言えば山桜のことでした。
さてこの桜の木、当時、自分を裏切った男への復讐に使われました。裏切られた女性は、灯をつけた蝋燭を頭にたて、鏡を首にかけ、藁人形とカナヅチ、釘をもって、真夜中の神社で、桜の幹に藁人形をうちつけ呪ったところ、桜は、もともと森の神様にとって、非常に大事な木でしたので、その願いをかなえて、釘を打たれる桜の木を救ったということです。呪われた男の体からはたくさんの釘がでてきたとという怖い話も残っています。このようなことから、山桜が恨みをこめて送られたこともあったとか。
神様が座する花木「サクラ」
日本の国がまだ神代といわれていたころ、コノハナサクヤヒメが富士山の頂きから桜の種をまいたのが日本に桜が誕生した始まりだという話が残っています。また、サクラの「サ」は農耕の神様、「クラ」は座る場所をあらわし、神の座す木であるという、桜の名の由来も。結婚式に桜の塩漬けに湯を注いだ桜湯を頂くのは、そのような神様の力にあやかるということなのでしょうか。
桜の葉は、抗菌作用にすぐれており、胃腸の調子を整えたり、下痢を止めたりする効能があるそう。桜の葉の塩漬けを桜餅に使うのはそのような理由からです。また桜の花の芳香は解毒作用があり、熱をとったり、二日酔いの不快感や咳などを緩和することもあるようです。桜の咲く頃に、桜の下に集まるお花見は、美しいだけではないなにかご利益がありそうですね。
春のシンボル「桜」を愛でる季節が今年もやってまいりました。花冷えなどないようどうぞ暖かくしてお出かけください!
参考:
「小さな花に想いをたくして」池田書店
「メディカルフラワーセラピー」假屋崎省吾/孫維良著