2月も半ばを過ぎ、4月からの新生活に向けた準備も忙しくなる頃ですね。一方で、風邪やインフルエンザが猛威をふるい、体調管理がむずかしい時期です。
今回は、お疲れ気味の身体にビタミンとミネラルを注入するのにぴったりな、緑黄色野菜の王様といわれる「ケール」をご紹介します。
「観賞用」として栽培されていた、江戸時代のケール
ケールはアブラナ科の植物で、和名はリョクヨウカンラン(緑葉甘藍)、ハゴロモカンラン(羽衣甘藍)です。「甘藍」とはキャベツの別名で、ケールはキャベツの原種といわれています。地中海沿岸が原産地で、ヨーロッパ各地では古くから食用にされてきました。
日本へは江戸時代に伝わり、当初は観賞用として栽培されていたそうです。ガーデニングで人気のある、中央が美しい紫色や白に染まったハボタン(葉牡丹)も、ケールを品種改良したものなのだとか。おしゃれな健康野菜として、このところ脚光を浴びているケール。実は、かなり昔から日本に存在していたのですね。
ケールは栽培地を変えることで年間を通して収穫することができますが、季節によって味わいが異なります。寒い時季はたくさんの養分を蓄えながらゆっくりと育つため甘みが増し、夏場は太陽を浴びて早く育つため、ややほろ苦い味わいに。今はまさに、甘みがあって食べやすい季節です!
ビタミンとミネラルの宝庫!「カルシウム」が、牛乳以上って本当!?
ケールにはβ−カロテンを主体とするビタミンAのほか、B群、C、E、Kといったビタミンの豊富さは群をぬいており、カルシウム、カリウム、マグネシウムなど多くのミネラルも含まれています。特に注目したいのが、カルシウムの含有量。牛乳やヨーグルトなどの乳製品よりも多く含まれ、しかも吸収率も牛乳より高いのです。
ビタミン類やミネラル類全般を幅広くカバーし、ほぼすべての栄養素をたっぷりと含んでいるケール。「緑黄色野菜の王様」といわれる理由はここあります。
苦い!硬い!は、過去のはなし。美味しくなったケールをまるごといただこう
青汁でおなじみのケールですが、かつての苦みやえぐみのあるイメージをくつがえす品種が出回り、そのまま食べられる美味しさに注目が集まっています。サラダやスムージーなど生で摂取すると、栄養素をまるごといただけるのでおすすめです。
ヨーロッパではロールキャベツやスープの具材としておなじみですが、水溶性の栄養素を多く含むケールには理にかなった調理法。きざんでミートボールに加えたり、餃子のタネに練り込んで、いつものメニューに手軽にビタミンとミネラルをプラスするのも良いですね。同時に食物繊維もたっぷり摂ることができます。
スーパーや宅配でも手に入るようになり、より身近になったケール。「緑黄色野菜の王様」を、ぜひ食卓に登場させてみましょう!
参考文献
吉田企世子『旬の野菜の栄養辞典 最新版』エクスナレッジ 2016
参考サイト
キューサイ ホームページ