気が付けば今年も残すところ3日となりました。今日12月28日は官公庁の「御用納め」、民間では「仕事納め」と言います。「御用納め・仕事納め」は、季語にもなっていますが、始まりはそう遠いことではありませんでした。「御用納め」の始まりとその時代、暦の関係、28日の行事、さらに今日しておきたいことは?
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御用納めの「御用」とは?
御用納めという言葉はニュースで見聞きしますが、仕事納めのほうが一般的になってきているのではないでしょうか。御用納めとは、官公庁で仕事を終わることを示し、翌日から正月三が日は正月休みとなること、と歳時記では説明されています。元来、御用納めと言ったのはなぜでしょうか?ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、江戸時代に幕府などの公の仕事を御用と言っていたことにちなみます。時代劇などで「御用!」と叫びながら悪人を追い詰める役人を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。明治維新によりさまざまな変化が生じましたが、公の仕事を「御用」と呼ぶ習慣は残っていたのですね。
28日が御用納めになったのはいつ?
御用納めの日にちが28日に決まったのは、明治6(1873)年がはじまりです。明治初期にはいろいろなことが改まりました。その後、昭和63年に行政機関の休日に関する法律が発行され、官公庁の年末年始休暇が12月29日から1月3日までと定められ、改めて12月28日が御用納めになり現在に至ります。多くの企業が同様の日程で年末年始の休暇を設定していることもこれにならったものです。とはいえ、業種によっては年末年始に関係なく仕事をされている方も多いと思います。これは江戸時代も同様で、商人は大晦日に仕事を終えて、元日に正月祝いをしたら2日から商いを始めていました。「初売り」が正月2日の季語である由縁ですね。農業は季節に密着していますので、休日はお天気と作物の状態次第、であることは今も昔も同じですね。作物の収穫が終わったこの時期が唯一の長い休みと言えるでしょう。
明治6年に始まったもう一つのこと
明治6年は、他にもいろいろな法律が実施された年です。例えば、お天気に関わることで言いますと暦の変化があります。現在の新暦に切り替わったのもこの年でした。もう少し詳しくお話しますと、明治5年は12月2日までで、翌日が明治6年1月1日になりました。この法律は明治5年11月9日に改暦の布告がなされたといいますから、どこもかしこも、慌ただしく短い師走だったことがうかがえます。それまで何度も改暦は検討されていましたが、影響の大きさに見送られていました。明治になり、西洋化が進められる中での大きな決断だったと言えます。今では当たり前になった西暦も、暦が統一されたことにより和暦と並記できるようになりました。
28日の行事と、今日しておきたいこと
季語には生活に密着した言葉も多く含まれています。この時期ですと「大掃除」、神社仏閣の大掃除にあたる「煤払い」があります。28日の行事として煤払いをしているのが、善行寺(長野県)です。今年も早朝6:00〜8:00頃まで、冬の早朝の清心な空気の中で執り行われるます。また、江戸時代から「富士山に登るなら大山へ登れ、大山に登るなら富士山に登れ」と言われる大山阿夫利神社(神奈川)では、28日に「大祓い」が執り行われます。清めの行事である「大祓い」は、心の大掃除になりますね。神社にとっても一年の締めくくりの行事であり、御用納めと言えます。この日にしておきたいことに目を向けますと、注連飾りをはじめとしたお正月飾りがあります。末広がりの「八」が付く28日に飾ると縁起が良いと言われています。「苦」をイメージする29日や、忌むべき一夜飾りとなる31日は避けるためにも28日を有効に使いたいですね。
無事に仕事を終えて、身の回りを整えて、どうぞ心和やかな年末年始をお過ごしくださいませ。
参考
国立天文台公式サイト 日本の暦
善行寺 善行寺の行事
俳句歳時記 冬 角川学芸出版
季節の花300