日本を代表する食文化の中心地として、80年以上の歴史をもつ東京・築地市場。
ここ最近、ニュースなどで築地市場(場内市場)の豊洲移転が話題となっていますが、周辺の場外市場は移転をせず、今後も現在の場所で営業が継続されます。
さらに、今週末の11月19日(土)には、場外市場の一角に新施設「築地魚河岸」がオープン。築地の新たな食の発信基地として、大きな期待が寄せられています。
そこで今回は、時代とともに進化する築地・場外市場にフォーカス。オープンが迫る「築地魚河岸」のプレ情報もお届けします。
築地市場の「場内」と「場外」
東京・築地市場の歴史は、関東大震災で焼失した日本橋の魚河岸が築地に移転してきたことに始まります。1935年(昭和10年)には、広さ約23万平方メートルの「東京都中央卸売市場」が開設され、日本有数の食の問屋街として急成長を遂げました。
築地市場は、豊洲移転が予定されている「場内」と、その周辺の「場外」と呼ばれる二つのエリアに分けられています。
場内では、主にプロの買い付け人に向けて、生鮮食品の販売や競りなどが行われています。定められたルールを守れば、一般の人も入場して買い物ができますが、基本的に業者が買い付けをしている場所なので、大きな単位で購入しなければいけない場合もあります。
一方、場内の北側に広がる「場外」は、業者とともに一般客も対象とした商店街となっており、鮮魚店や乾物店、飲食店など600店以上が軒を連ねています。
もともと場外もプロの買い出し人が利用する業務問屋街でしたが、食イベントの人気や日本食ブームが高まるなかで、一般客や海外からの観光客も多く訪れるようになりました。それに合わせて、業務用を小分けにして販売したり、食べ歩きができる店舗を増やすなど、時代のニーズに即して変化しながら築地のにぎわいを創り出しています。
場外市場を利用する際に知っておきたいこと
場外の店舗は早朝から営業していますが、9時ごろまでは業者向けの販売が中心となっているため、一般客はそれ以降の時間帯に訪れるのがオススメです。ただし、14~15時には閉店するお店も多いため(店舗によって異なります)、ゆっくり回るなら時間に余裕を持って出かけましょう。
また、多くの人が行き交う市場では、通行の妨げになる三脚・セルカ棒の使用は禁止されています。写真を撮りたい場合はお店の人に確認して、周囲に迷惑をかけないよう十分に注意を。大きなキャリーバッグやベビーカーの使用も、できれば控えた方がいいでしょう。
また、築地市場は業務用の卸価格で販売していますので、それ以上「値切る」ことはNG。そのかわり、お店の人に質問・相談すれば、食材の選び方や家庭向けの調理法などをアドバイスしてくれます。こうした昔ながらのやり取りも、場外ならではの楽しみのひとつです。
築地場外に誕生する「築地魚河岸」とは?
そんな築地場外の一角に11月19日(土)、新しい食の発信基地「築地魚河岸」がオープンします。築地魚河岸は、築地のにぎわいを将来に向けて継承するために、中央区が設置した生鮮市場施設で、仲卸を経営母体とした鮮魚店、水産物店、青果店など、約60店舗が入居する予定となっています。
同施設は「海幸橋棟(地上2階)」と「小田原橋棟(地上3階)」の二つのエリアに分かれており、総面積は約7400平方メートル。各店舗が立ち並ぶ営業フロアのほか、屋上には屋外イベントが実施できる屋上広場、3階の多目的スペースには、フードコート形式の食堂やキッチンスタジオなどが設けられます。
食のプロに支持され、一般客・観光客にも親しまれるにぎわい拠点として、築地の伝統とともに新たな魅力を発信する「築地魚河岸」。ぜひ今週末は築地場外に足を運んで、グルメの食べ歩きやショッピングを満喫してみてはいかがですか?
参考:築地新聞(朝日新聞編)、築地場外市場HP