
北陸地方は、7日(土)頃までは前線の北側の高気圧に覆われてだいたい晴れますが、8日(日)以降、次第に前線が北上してきて、10日(火)頃からは新潟を含めて曇りや雨の日が多くなりそうです。来週は北陸地方の梅雨入りのタイミングの一つとなる可能性があります。11日(水)頃は、前線が北陸付近まで北上し、北陸地方でも短時間に強い雨の可能性があります。また、今年の梅雨は大雨になりやすいパターンとなるおそれがあります。大雨対策はこの週末までに行うようにしましょう。
●金沢より南は8日(日)から曇りや雨が多く 10日(火)には梅雨入りか 11日(水)は強い雨の可能性も
7日(土)までは、北陸地方は高気圧に覆われてだいたい晴れそうですが、8日(日)以降、前線が本州の南の海上から徐々に南岸付近へ北上してくるでしょう。8日(日)の段階では雨の範囲は金沢より南となり、前線から離れている石川県能登地方や新潟県を中心に引き続き晴れ間が広がりそうです。9日(月)も、新潟県下越地方を中心に晴れ間の広がる所がありますが、10日(火)以降は、新潟県を含めて広い範囲で曇りや雨となりそうです。
北陸地方は福井県の嶺南地方はほとんど近畿地方、一方新潟県は新潟市で福島市より北、最北端は仙台市より北という立地となっているため、住んでいる地域によって事実上の梅雨入りの日が異なってきそうですが、現段階では10日(火)頃に北陸地方の梅雨入りが発表される可能性があるということはできそうです。北陸地方の梅雨入りの平年日は6月11日ですので、ほぼ平年並みの梅雨入りとなりそうです。
なお、11日(水)は、前線が北陸付近まで北上し、前線に向かって暖かく湿った空気が入るため、局地的に強い雨の降る可能性があります。場合によっては梅雨入り早々の短時間強雨・大雨ということもありますので、晴れる7日(土)までは「大雨に備える期間」と捉え、避難経路の確認や側溝の掃除、非常用品の確認や買い出しなどを済ませておくとよいでしょう。また、「梅雨入り前の貴重な晴れ」でもありますので、大きな洗濯物などを片付けるとよいでしょう。
●太平洋高気圧が強まり、前線北上 熱帯域の対流活動の動向がカギ
4日(水)の段階では、太平洋高気圧が日本の南東海上にあり、梅雨前線に相当する雲域は本州の南の海上に広がっています。一方、フィリピンの東側ではまだ対流活動が活発ではないですが、さらに南東側で対流活動の活発な領域があり、次第に北上するでしょう。
このあと、対流活動の活発な領域がフィリピンの東海上へ広がる予想で、海外の気象モデルでは熱帯擾乱が発生する予想もあります。フィリピンの東海上で対流活動が活発となると、上昇した空気が周辺部で下降し、太平洋高気圧を強める働きをします。太平洋高気圧が強まる結果、南海上にあった梅雨前線に相当する雲域が本州付近まで北上するため、北陸地方を含め、本州付近は長雨の季節に移ってきそうです。
梅雨前線がどこまで北上するか、前線の活動が活発化するかは、フィリピンの東海上での対流活動がどれくらいかによってきます。海外モデルのように熱帯擾乱が発生した場合は、熱帯擾乱自体の動向に加え、前線活動が活発化することも考えられますので、動向には十分な注意が必要になります。
●今年の梅雨の特徴 北陸付近でも大雨リスク大きい
この夏は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生しない「平常年」となる可能性が高くなっています。一方、日本の南の海上から太平洋熱帯域西部で海面水温が平年より高い状態が続き、対流活動が活発(上昇流域)となるでしょう。
太平洋熱帯域西部で対流活動が活発となると、上昇した空気が日本の南海上で下降し、太平洋高気圧を強める働きをします。このため、日本の南の海上で太平洋高気圧が強いでしょう。梅雨の時期に関しては、太平洋高気圧の北への張り出しは極端に強くはなく、本州付近には暖かく湿った空気が流れ込みやすい傾向となります。
北陸目線では、太平洋高気圧が西に勢力が強まる傾向となりますので、暖かく湿った空気が南からではなく、西から流れ込みやすいでしょう。これは、海上から湿った空気が直接北陸地方に流れ込み、北陸地方では大雨となりやすいパターンです。
また、上空の偏西風は平年より北を流れやすい傾向となっています。これは、梅雨前線が早い段階から日本海まで北上しやすくなると取ることができそうです。6月は例年、梅雨に入っても梅雨前線は本州の南岸に停滞しやすいため、北陸地方では雨は降っても大雨となることは少なく、前線が少し南に下がれば梅雨の晴れ間となることも多い時期です。しかし、今年は6月の内から前線が日本海まで北上するタイミングが多くなるおそれがあり、6月の内から大雨に警戒が必要となりそうです。前述のように、前線に向かって南からではなく、西から暖かく湿った空気が流れ込む傾向ということもあり、梅雨全体を通しても北陸地方にとっては大雨リスクが高い傾向ということができそうです。