台風10号は日本列島に記録的な大雨や暴風をもたらし、大きな影響を与えました。南の海上は台風の発生しやすい状況となっており、9月1日(日)午後9時にはフィリピンの東で、台風11号が発生。そのほかにも新たな熱帯擾乱(台風や熱帯低気圧)が発生する可能性があります。台風10号のまとめと今後の台風の動向です。
●台風10号のまとめ
日本列島に大きな影響を与えた台風10号を振り返ります。
台風10号(サンサン)は、8月22日午前3時にマリアナ諸島で発生しました。日本の南をゆっくりとした速度で北上し、非常に強い勢力にまで発達。8月29日午前8時頃に鹿児島県薩摩川内市付近に強い勢力で上陸し、その後、四国を進み、9月1日(日)正午に東海道沖で熱帯低気圧となりました。
日本近海の海面水温は平年より高く、台風10号は発達しながら九州に接近しました。また、台風を流す風が弱く、ゆっくりとした速度で進み、影響が長引きました。
鹿児島県では8月28日、台風(暴風・波浪・高潮)の特別警報が発表されました。最大瞬間風速は、鹿児島県の枕崎で51.5メートルを観測。九州南部を中心に、走行中のトラックが横転するほどの猛烈な風が吹きました。
台風は接近する前から大雨をもたらしました。九州から関東を中心に発達した雨雲が断続的にかかり、宮崎県のえびの高原や静岡県天城山では総雨量が900ミリを超えるなど、各地で記録的な大雨となりました。
突風被害や土砂災害、内水氾濫など被害が発生しました。また、九州新幹線や東海道新幹線が運休するなど交通機関にも大きな影響がでました。
●台風11号のほかに新たな熱帯擾乱発生か
南の海上は台風の発生しやすい状況となっています。
9月1日午後9時、フィリピンの東で、台風11号「ヤギ」が発生しました。台風11号はフィリピンの東を発達しながら北上しており、9月3日以降は進路を西よりに変えて、バシー海峡から南シナ海へと進む予想です。日本列島に直接的な影響はない見込みですが、沖縄の先島諸島ではうねりが入り、波が高くなる可能性があります。
そのほかにも9月2日現在、日本の南に熱帯低気圧があります。この熱帯低気圧はあまり発達しない見込みですが、新たな熱帯擾乱(台風や熱帯低気圧)が発生し、沖縄周辺に北上する可能性があります。来週前半にかけて複雑な動きをとる可能性もあり、今後の動向に注意が必要です。
●台風シーズン続く 一般的な秋台風と異なる可能性も
南の海上で台風が発生しやすい状況はしばらく続く予想で、この先も南の海上から目が離せません。
また、偏西風が平年に比べ北よりを流れやすい見込みです。偏西風が北よりだと、台風が日本列島に近づいた際に、台風を流す風が弱く、台風10号のように動きが遅くなったり、動きが複雑になったりする可能性があります。一般的に秋台風は夏台風に比べ、スピードが速いのが特徴ですが、今年はいつもとは違った動きとなるかもしれません。