
<広島2-7ヤクルト>◇17日◇マツダスタジアム
広島新井貴浩監督(48)の試合後のコメントは、2度の満塁を含む3度の得点機で凡退した4番末包昇大外野手(29)に奮起を促す言葉が続いた。
「今日はスエ(末包)のところに結構チャンスで回ってきて、本人も悔しいと思う。ただ、この悔しさを燃やして、力に変えないといけないと思う。そして成長していかないといけない」
14試合連続で4番起用の末包は1回無死満塁で二併殺に倒れ、1点ビハインドとなった3回1死一、二塁では空振り三振に終わった。5回1死一塁では左飛。7回には再び1死満塁で打席を迎えたが、力のない二飛に倒れた。試合は投手陣が4回途中までに7失点したことで重くなった。だが、今季4番をチーム最多58試合任せるなど期待をしているからこそ、言葉にも次第に熱を帯びた。4打席凡退した結果に対してではない。
「俺が現役のときも相手の4番に負けたくないとか、他のチームの同じポジションの選手に負けたくないとか思ってやっていた。チーム内の競争はもちろん、さらにもう1つ2つ高い意識をしないと。今、自分が他のチームに行ったらレギュラーとして出られるのか、と。さらに成長していくためには、チーム内の競争だけじゃだめだと思う」
ヤクルトの4番村上は試合を決定づける3ランを放った。簡単に白旗を上げるようでは成長は止まる。求めるものは、技術やパワーではない。末包が今年1月まで3年連続で自主トレをともにするカブス鈴木の名を挙げて続けた。
「誠也だって何が優れているかって、そういうところ。“絶対負けない”と。悔しい思いを持ち続けて、燃やし続けることができる。それも成長していくために必要な要素。切り替えて、切り替えてばかりじゃなく、悔しい気持ちを持ち続けて、いい意味で次の試合に持ち込んでいく。そういう作業は自分でしかできない」
シーズンは残り36試合となった。この悔しさをぶつける試合も残り少ない。成長を信じているからこそ、指揮官は敗戦後のコメントであえて末包に向けてメッセージを送ったに違いない。