
<オリックス0-1西武>◇16日◇京セラドーム大阪
西武山田陽翔投手(21)は「1-0」のマウンドに上がったものの、いつものように「いや特に」と緊張していなかったようだ。
大事な仕事。でも緊張せず「いい緊迫感で」と感じ取り、21歳にして見事な仕事をしてみせる。
なぜ緊張しないのか尋ねると「なんでですかね」と本人もいまだ、その理由に確証なし。ただ「楽しめてると言ったらそうなのかもしれないですけど、割りきってるというか、自分のできることだけをやろうと思って投げてるので」とイメージはした。
8回、先頭のオリックスの8番大里を内野安打で出塁させたものの「自分なりに変化球を打たせてのヒットだったので、それは特に気にすることなく」と、ここでやはり“特に気にしない”と揺らがないのがメンタルの強さを物語る。
9番麦谷はバントの構え。「まっすぐで簡単にバントさせることもあります」と山田は言うが「ここは1点もやれない場面だったので」と、特に重要な局面と感じたようだ。
ツーシームでファウル、次はシュートでファウル。盗塁は許したが最後はアウトロー直球で空振り三振に。「(西口)監督にも、進塁はされたけどあそこの三振が良かった、と言ってもらえたので」。右方向へのゴロにされていたら、その後同点に追いつかれたかもしれない。極めて大きな奪三振だった。
近江(滋賀)で甲子園を沸かせ、今年でプロ3年目。開幕戦で緊急招集され、そこからあれよあれよと好投し、大事な場面を任される中継ぎに進化した。
初勝利、初ホールド、初セーブとひとしきりクリアし、ホールド数もこの日で「10」に達した。ただ「うーん、まぁそうですね」と数にもそこまでこだわっていない。
「もっと、まだまだシーズンあるんで、もっと頑張って、そういう場面で投げられたら(ホールドを)付けていければ」
無欲と無心で投げ続け、この日で今季34試合目。それだけ投げても防御率は0・78。プロ3年目で、昨季までは1軍登板はなし。だから新人王の資格をまだ持っている。【金子真仁】