
<真夏のライラック:日大山形・岩下瑛斗内野手(3年)>
<全国高校野球選手権:県岐阜商6-3日大山形>◇11日◇1回戦
2年ぶり20度目出場の日大山形が逆転負け。新チーム始動時から掲げていた「ベスト8」の夢は初戦で散った。
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親子でつかんだ甲子園だった。岩下は打っては1安打。主将としてもチームをけん引した。「甲子園でたくさんの人に勇気と感動を届けたいと思ったんですけど、そんなに甘くない場所でした」と話した。
野球を始めたきっかけは父昌史さんの影響。高校時代は市船橋(千葉)で93年に春夏連続の甲子園出場。その後は、秋田・にかほ市に拠点を置く社会人野球チームのTDKでプレーし、06年には東北勢初となる都市対抗優勝を成し遂げた。当時の背番号「8」にちなみ、翌年生まれた息子は「瑛斗(えいと)」と名付けられた。
この優勝に心を動かされた。「県民のみなさんに勇気と感動を与えていた」と母から話を聞き、当時の動画や写真も見せてもらった。「自分もこうなりたい」。それからは二人三脚。「どんな時も自分が『練習したい』と言えば教えてくれました」。風邪などで体調が優れなくても関係なし。自らの体を犠牲にしてでも、野球を教えてくれた。
野球人としての背中は、誰よりも格好よかった。その背中をこれからも追い続ける。卒業後は大学で野球を続けるつもりだ。「将来はプロ野球選手になって、お父さんに恩返しをしたいです」。必ず親子の夢をかなえる。【木村有優】