
<ソフトバンク4-1日本ハム>◇9日◇みずほペイペイドーム
ソフトバンクが新庄ハムとの首位攻防第1ラウンドを制し、2位に今季最大の2ゲーム差とした。先発有原航平投手(32)が7回1失点でチームトップの10勝目。自身8連勝で3年連続2ケタ勝利を達成した。ペナントを争う強敵を相手に有原、モイネロ、大関の先発3本柱をぶつける小久保裕紀監督(53)も「本来の自分の力を発揮している」と初戦好投のエースを称賛。球団初となる2年連続の本拠地10連勝も決め、ガッチリ首位固めに入る。
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ニヒルな男が珍しく、ほえて、ほえて、ほえた。
3点リードの7回。ソフトバンク有原は先頭の7番万波に四球を与えると、グラブを口元に持っていき、ほえた。悔しさ、自身へのいら立ちを抑えきれなかったのだろう。8番田宮にも右前打を許して無死一、二塁。終盤の正念場。残っている力を振り絞った。
首位攻防3連戦の初戦を任された。追いすがる新庄ハムを勢いに乗せるわけにはいかない。続く9番水野を二ゴロ併殺打に仕留めると、またほえた。2死三塁となり、最後は1番五十幡を自慢のチェンジアップで空振り三振。窮地を無失点で切り抜けると、またまたマウンド上でほえた。
「今日は本当に真っすぐも良かった。調子も良かった。先制点を取られたけど、いい投球ができた」
7回109球を投げて4安打1失点。自身8連勝で3年連続2ケタ勝利となる10勝に到達した。エース右腕の好投で首位攻防第1ラウンドを制し、2位とのゲーム差を今季最大の2ゲーム差に広げた。
好調右腕は原点回帰した。開幕から交流戦まで黒星が先行。「真っすぐを打たれていたし、なかなかファウルも取れなかった」。投球の基本となる直球のキレ、力強さを求めて投球を改善。約3カ月の試行錯誤で納得のボールを取り戻した。
「球速とか回転数とかは変わらないんですが、力強さが戻って、変化球も生きるようになった」
8奪三振のうち2つを直球で仕留めた。残り6個は自慢のフォークとチェンジアップ。直球の勢いが戻ったことで変化球も効果的に決まった。古巣日本ハムから今季2勝目だ。
チームは今カードを後半戦の「天王山」と位置付け、先発ローテを再編していた。3連戦の先発投手に有原、モイネロ、大関の「3本柱」を用意。その初戦をエースが好投で飾り、小久保監督も納得の表情だ。「本来の力を発揮してくれている。7回のピンチを切り抜けてくれたのが勝因」と右腕を称賛した。
球団初となる2年連続本拠地10連勝にも到達。首位固めへ、第2ラウンド以降も勢いを加速させる。【佐竹英治】