
<中日8-3阪神>◇7日◇バンテリンドーム
中日ドラフト1位金丸夢斗投手(22)が8回3失点でプロ初勝利を挙げた。10度目の先発で阪神打線とは初対戦。2回に中川、4回に佐藤輝にソロを浴びたが、直球を軸に攻めの投球を続け、ようやく勝利をつかんだ。
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勝利の瞬間、金丸はようやく満面の笑みを見せた。「重たいですね。10試合分の重さが詰まってます」とウイニングボールを見つめた。初白星まで10試合、3カ月もかかった。打線が金丸登板試合で最多8得点の援護に好守備連発も「なるべく0-0のイメージで、何が起こるか分からないので最後まで表情を変えなかった」。「真っすぐとスプリットがよかった」と打たれても攻めの投球を続けた。中継ぎが不安な中、井上監督に「行きます」と志願して8回もマウンドに上がり「0」を刻んだ。
プロの厳しさをたたき込まれた3カ月だった。前回7月31日巨人戦は自己ワースト6失点。「一番悔しいマウンドだった」と降板後ベンチで涙を流した。2日後のオフには近くの温泉施設でリフレッシュ。神戸の実家に帰省した球宴休みも両親と温泉施設へ。豪華な温泉宿ではなく身近に行ける温泉施設が大好きだ。
6月5日ソフトバンク戦では初回にいきなり4失点。投球前の動作のクセで球種がバレていた。わずかな隙も見逃してくれなかった。2日後の休日、金丸は友人と出かけた。車で1時間かけ向かったのは、豊田市の足助(あすけ)町だった。「本当に山の中で、だいぶ気持ちもリフレッシュされました」。約1時間半、緑に囲まれ時間を忘れた。4球団競合の末、中日に入団。ドラフト直後から周囲の期待は膨らむばかり。「そういうのはありますよ。だから、そういうところ行って、いい感じに忘れるんです」。森林の中で心を無にした。
チームの連敗も3でストップ。試合序盤のもたつきに「いつ替えてやろうかソワソワしてる」とベンチで金丸をイジった井上監督もニンマリ。「ちょっと時間がかかりすぎたが、これで調子に乗ってほしい」と高橋宏との両輪を期待した。金丸も「ヒロトに負けないように頑張ります」とここから左右両エースとしてドラゴンズを支えていく。【石橋隆雄】
◆金丸夢斗(かねまる・ゆめと)2003年(平15)2月1日生まれ、神戸市出身。神港橘では甲子園出場なし。関大ではリーグ通算49試合20勝3敗、312奪三振、防御率0・83。3年秋から大学最終登板まで72回連続自責点0。昨年3月、大学生で侍ジャパンに選出され、欧州代表戦に先発。2回をパーフェクト(4奪三振)で6投手の完全リレーにつなげた。昨年ドラフト1位で4球団競合の末、中日入団。177センチ、77キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1600万円。