
<日本ハム2-5ソフトバンク>
47日ぶりに1軍復帰した日本ハム松本剛外野手(31)が、復活ののろしを上げた。ソフトバンクとの首位攻防3連戦初戦に「2番左翼」でフル出場。1点を追う1回の第1打席でいきなり左前打で出塁すると好走塁も見せて一時同点となるホームを踏んだ。チームは敗れて25日ぶりに2位転落となったが、頼れる選手会長が存在感を発揮した。
◇ ◇ ◇
諦めない松本剛は、全力疾走した。4点を追う9回2死二、三塁。「あれは気持ちがうまく打球に乗ってくれたかな」。遊撃へのボテボテのゴロが幸いし、適時内野安打となった。最後まで逆転を信じるファンに歓喜をもたらした。結果として敗色を塗り替えることはできなかったが、選手会長の意地が詰まった打席だった。
6月12日以来となる1軍復帰。「今回落ちた時は自分自身、最初は気持ちの整理がすごく難しかった」。今季2度目の抹消期間は約1カ月半。首位打者を獲得した22年などの打撃映像を参考に「いい時に戻す感覚がイメージ的に好きじゃなかったけど、今回はいい時に戻すイメージですごく練習してきた」。心身とともに過去の自分とも向き合って復調を図ってきた。
稲葉2軍監督や佐藤、横尾両2軍打撃コーチが付きっきりで見てくれた。「ヒットを打って少しでも喜んでもらえたら」という再出発の原動力に加え、試合前に行われたウエルカムハイタッチではファンから「おかえり~」とたくさんのエールも受けた。「『おかえり』っていう言葉が、すごくなんか自分の胸に刺さった」。偶然にもファンと直接ふれあうイベントと重なった再昇格の節目。「『ただいま』ってみんなに、打席の中で返せたらいいな」と気持ちも高ぶっていた。
再昇格即フル出場で、1点を追う1回には左前打。好走塁も見せて同点の起点となった。新庄監督も「よかったね。1打席目にヒットが出たんで。あとの打席も雰囲気、全然悪くないし。(9回の)内野安打も、また乗っていくポイントの1つ。乗ってくれるんじゃないですか」と期待する。
チームは今季初めてソフトバンクに首位を明け渡したが、しびれる戦いはここからが本番。「勝てなかったのはすごく悔しかったですけど、個人的にはすごくいい緊張感の中でゲームができて、やってきたことが出せた打席がすごく多かったのですごくいい1日だった」。選手会長はもう立ち止まらない。チームの大航海を、歓喜のゴールへ導いていく。【木下大輔】