
日本人として初めて米野球殿堂入りしたイチロー氏(51)が27日(日本時間28日)、ニューヨーク州クーパーズタウンで行われたセレモニーで英語スピーチを行った。
スピーチでは妻の弓子さんへの感謝と引退後の夫婦秘話、メジャーへの扉を開いた野茂英雄氏への思い、プロとしての心構えなどを19分間にわたって語った。イチロー氏らしいジョークも交えながら、所属したマリナーズ、ヤンキース、マーリンズ各球団の関係者、選手や家族らに感謝の言葉を残した。
【イチロー氏のスピーチ<3>】
「僕は毎日、自分の道具は自分で磨きました。なぜなら、グラブのひもが緩んでエラーをしたり、スパイクを磨かなかったから滑るのが嫌だったからです。シーズン中だけでなく、オフシーズンも決まったルーティンに取り組んできました。毎年、スプリングトレーニングに合流する時には、私の肩は出来上がっていて、マリナーズのアナウンサーを務めたリック・リズが『イチローのレーザービームだ!』って叫んでくれるのを待っていました。小さいことを積み重ねれば、成し遂げられないことなどありません。僕を見てください、アメリカに来た時、たくさんの人に『君はメジャーリーガーと比べて細すぎる』と言われました。初めてフィールドに出たときには、レベルに圧倒されました。ですが、自分の準備に対する信念を貫けば、他人から、自分自身の疑いすらも乗り越えられると信じていました。『チームのためにできる最善のことはなに?』ってよく聞かれます。私の答えは『自分自身に責任を持つこと』です。自分自身に責任を持つと言うことは、自分に正直であるということです。夜、自宅に帰って『どうしてヒットが打てなかったのか』『どうしてキャッチできなかったのか』を考えたとき、その答えは『相手のピッチャーが素晴らしかった』でも、『日差しがまぶしかったから』でもありません。『自分にもっとできることがあったから』なのです。自分自身に責任を持てば、チームを支えることとなり、ファンを裏切ることもありません」