
<真夏のライラック:青森北・工藤亘晴外野手(3年)>
<高校野球青森大会:八戸学院光星11-1青森北>◇23日◇準決勝◇はるか夢球場
親子の物語は涙で幕を閉じた。47年ぶりの夏の甲子園を目指したが、準決勝で1-11の5回コールド負け。「甲子園に連れていけずに申し訳ないです」と涙があふれた。父の工藤公治監督(53)の目にも光るものがあった。「辛かったと思います。よく立ち向かっていきました…」とハンカチを取り出し、目を押さえた。
家では尊敬するお父さん。だが、グラウンドに入れば監督。亘晴は「監督さん」と呼んだ。選手としてつかみ取った背番号「7」だった。この日は亘晴の二ゴロがチーム唯一の打点となったが、工藤監督は「ライト前に抜けないところがまだまだです」。それでも「それを抜けるような男というか、そういう人生にしてほしいですね」と、最後は父の表情になった。
中学までの親子の時間は週に3時間のみ。単身赴任の工藤監督が自宅に帰る日曜の夜だけだった。亘晴は「2年半、一緒に野球をやれて、辛いこともありましたけど、感謝でいっぱいです」とかけがえのない時間を思い返した。これから先も父の背中を追い続け、かっこいい男になる。【木村有優】