
<真夏のライラック:法政・佐相健斗監督>
<高校野球西東京大会:世田谷学園9-0法政>◇19日◇4回戦◇コトブキヤスタジアム
偉大な父を弔う夏が終わった。
法政は6年ぶりのシード校として挑んだが、7回コールドの4回戦敗退。佐相健斗監督(34)は「まずは選手にけがなくできた。(父も)この大会を見守ってくれていたと思う。『ありがとう』と伝えたい」と感謝の気持ちを口にした。
相模原(神奈川)の監督として19年夏の神奈川大会で4強入りした実績を持つ父・真澄さんを1月に病気で亡くした。66歳だった。レベルスイングを基本とした独自の打撃理論で数々の好打者を育てた「公立校の名将」で、健斗監督も川崎北時代の教え子だ。
「小さい頃から刷り込まれてきた。(父が書いた)本は読まなくても頭に入っている」。
20年に監督就任後は、父から学んだ打撃指導論のアップデートにも取り組む。
最新機器のラプソードを用いてスイングスピード、打球角度、速度などを数値化。さらに専門コーチを招き、甲子園出場選手のデータと比較しながら、教え子の打撃開眼を図る。
「アレンジを重ねて新しい時代に合ったものにしたい」。
高橋夏音主将(3年)も「自分のスイングの数値が細かく見られるので、練習のモチベーションになっている」と効果を実感していた。
7日の神奈川大会開会式では日本高校野球連盟から真澄さんへ育成功労賞が贈られ、長男として記念の盾を受け取った。
戦う場所は違えど「やはり、父親が目指していた場所を改めて目指したい」と誓った。
尊敬する父でも届かなかった夏の甲子園を夢見て、教え子と向き合い続ける。【泉光太郎】