
<高校野球西東京大会:国士舘5-4日大鶴ケ丘>◇22日◇5回戦◇府中市民球場
力で押し込んだはずだった。2点リードの8回2死満塁、カウント1ボールから日大鶴ケ丘のエース住日翔夢(すみ・ひとむ)投手(3年)が投げた渾身(こんしん)の内角直球は、ふらふらと上がり、右翼線に落ちた。
痛恨の走者一掃の逆転3点二塁打。「(2点を追う)6回裏にみんなが底力を出して(4点を取って)くれたのに、自分がチームを勝たせられなくて申し訳ない気持ちでいっぱい」。大粒の涙がほおを伝った。
今大会は計2試合に登板し、9回1/3、6安打3失点、7四死球、6奪三振。制球面の課題はあったが、得点圏に走者を抱えた場面で三振を奪うなど見せ場もつくった。
18日の桜町との初戦を視察したDeNA木塚アマスカウトは「打者に真っ向勝負をしていくスタイルがいい。打者によって駆け引きを変えるもよかった」と評価していた。
上一色中(東京)の軟式野球部では中学3年時に全国制覇に貢献。日大鶴ケ丘に進学後も1年夏から着実に経験を積んできた。直球の最速は144キロ。さらに「テンポよく打者に球速以上に速く見せる真っすぐや緩急を使ったピッチング」を強みとしてきた。
この日もプロのスカウトが見守る中、3回途中から2番手で救援し、7回まで国士舘打線を1安打無失点に抑えるなどアピールした。最後の夏の挑戦は幕を閉じたが、卒業後の進路は「今のところはプロ1本で考えている」と明かした。【泉光太郎】