
【アトランタ(米ジョージア州)15日(日本時間16日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、リーグNo.1左腕の出はなをくじいた。オールスター戦にナ・リーグの「1番DH」で出場。2年連続のサイ・ヤング賞獲得が期待されるタイガースの左腕タリク・スクバル投手(28)から中前打を放ち、先制点につなげた。今季、ア・リーグ最高勝率のタ軍と再戦するならワールドシリーズとなる。公式戦で9打数1安打だった難敵と“シーズン仕様”の勝負を繰り広げ、18日(同19日)から始まる後半戦へ弾みをつけた。
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大谷は外角低めに決まったベストボールのスライダーを、力まずにはじき返した。スクバルとの対戦で初球から強振。2球続けてファウルで、2ストライクと追い込まれた。「なんとかバットに当てていけましたけど、三振かホームランくらいの感じの、自分の中ではそれくらいの気持ちでいこうかと。渋いヒットにはなりましたけど、良かったかなと思います」。試合後、同僚のフリーマンと参加した会見でニコニコと、うれしそうに振り返った。
ファンに喜んでもらい、選手自身も楽しむことがメインとなる夏の祭典。全球フルスイングしてもいい。だが、したたかな大谷は本能が働いたのか、出塁を意識したように中前に落とした。昨年サイ・ヤング賞を獲得し、今季も圧倒的な成績を残しているリーグ最強左腕に対し、公式戦では9打数1安打。前日の会見でも「できれば対戦したくない」と苦笑いするほどの難敵だったが、仮にワールドシリーズで対戦するなら苦手意識は持ちたくない。球宴とはいえ、限られた機会を生かし、今後に向けて弾みをつけた。
もっとも、大谷らしい見せ場を作り、4万1702人のファンを沸かせた。第2打席、ヤンキースの左腕ロドンのスライダーを捉えると、右翼ポール際への大ファウルとなった。「だいぶフックしていたので、最初はホームランのあれ(軌道)でしたけど、切れていくのが見えたのでファウルかなと」。ほっとしたロドンと目が合うと、大笑いで楽しむ姿もあった。続く高めのボール球に手を出し、一ゴロで凡退。昨年は球宴初アーチを放ち、2年連続の1発も期待されたが、2打数1安打で終えた。
自身5度目のオールスター出場で、若手選手から憧れのまなざしを向けられる存在にもなった。「(試合中継の)画面でしか見てなかった選手と交流することによって、こういう性格なのかと把握できたのは、単純にいい時間を過ごせた」と、改めて球宴の醍醐味(だいごみ)も感じた1日。18日からは後半戦が再開する。つかの間の休日は「家でゆっくり過ごそうかなと思います」。充実感を漂わせ、笑顔いっぱいの2日間を終えた。
【詳細】オールスター異例の「スイングオフ」で決着!シュワバー3連発でナ・リーグ勝利--https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202507160000528.html--