
エンゼルスが“オールドスタイル”への回帰で、球団記録を作った。今季は、開幕投手の菊池雄星投手(34)を中心に、基本的に中4日、中5日の先発ローテーションを5人で堅守している。今季81試合目となった6月27日(日本時間28日)ナショナルズ戦で、先発5投手のみの連続起用試合数で球団新記録をマークした。大谷翔平投手(30=現ドジャース)が在籍していた18年~23年までは先発6人制を採用していたが5人に戻し、14年以来となるポストシーズン進出へ、着実に再建の道を進んでいる。
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主戦投手の菊池を軸に、エンゼルスが新たな基盤を固めている。81試合目となった6月27日、「先発5人制の継続」で球団新記録を作った。
菊池に続く先発陣は26歳の右腕ソリアーノ、2年目のコハノビツ、ベテラン左腕アンダーソン、通算102勝の右腕ヘンドリックス。若手にベテランを交え、ローテーションを一度も崩さずにシーズンの半分以上を戦ってきた。
今季「先発5人固定」を続けているのは、メジャー30球団でエ軍だけ。近年は救援投手を先発起用するオープナーや先発6人制など、枚数を増やして登板間隔を空ける試みを一時的に行う球団も増えてきている。
ドジャース大谷が所属していた18年~23年、エ軍も主に先発6人制だった。だが、昨季からワシントン監督の方針もあり“オールドスタイル”に回帰。病気療養のため今季途中でチームの指揮から外れることになったが、就任2年目で再建の方向性が固まってきた。
誰ひとり故障せず、頑丈な先発陣を引っ張っているのが菊池だ。
「ケガをしないで、とにかく5日に1回投げていくことが、何よりも価値があると思っているので、あまりそれ以外のことは考えていない」
その思考にたどり着いたのにも、理由があった。
「最初はそんな気持ちになれなかったですけど、7年間やって、過去のデータを見てみると、両リーグで平均50人くらいしか規定(投球回)に到達しない。ということは、1チームに2人いない計算になる」
経験を経て、規定投球回162に到達することの意味を見いだした。
シーズン162試合の長丁場で先発ローテが不安定になれば、必然的に救援陣にも負担がかかる。菊池は先発として「規定以上をしっかり投げるのが難しいことだし、価値のあることなんじゃないかなと思って。もちろんその上で成績を出せればいいですけど、一番は(先発で年間)32、33試合投げる方が大事なのかなとは思ってます」と言う。その言葉通り、2年連続で規定投球回に到達し、今季もクリアできる見込みだ。
チームへの貢献の仕方は、個々の選手でさまざまな形がある。数字では目立たないが、故障なく安定して先発マウンドに立ち続ける菊池の貢献度は大きい。シーズン折り返し地点でア・リーグ西地区3位のエ軍。大谷が移籍して2年目、再建の道を進むチームの土台は、頑丈に固まっている。【斎藤庸裕】
○…今季のエンゼルスは、生え抜きドラ1たちでも球団新記録をつくった。6月23日レッドソックス戦で、ドラフト1巡目で指名した選手を8人起用。主力野手のトラウト、ウォード、アデル、中継ぎ投手のデトマーズとバックマンに、ネト、シャヌエル、球団トッププロスペクト(有望株)の内野手ムーアがプレー。1試合で「生え抜きドラ1」の8選手出場はブルワーズが91年7月3日に記録して以来34年ぶり。投打でエンゼルスの再建が進行中だ。