
<仙台育英創部95周年記念招待試合:仙台育英-智弁和歌山>◇28日◇仙台育英真勝園グラウンド
仙台育英が28日、「創部95周年記念」として、今春センバツ準Vの智弁和歌山と招待試合を行った。
フルメンバーで臨んだ1試合目は4-0で快勝した。左腕エース吉川陽大(あきひろ)投手(3年)が先発し、散発5安打に抑えて完封勝利を挙げた。2試合目は1-2で敗れた。
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収穫ありの一戦だった。吉川はセンバツ準V打線に122球の熱投で、5安打8奪三振で完封。最後は145キロ直球で投ゴロに打ち取り、自ら一塁ベースを踏んだ。「今日はいろんな球種でカウントが取れたので良かったです」と振り返った。相手先発で智弁和歌山のエース渡辺は、吉川と同郷の神奈川県横浜市出身。中学からお互いに名前を知っていたという。「向こう(渡辺)から話しかけてくれたので、変化球のコツなどを聞きました」と貴重な時間も過ごした。
3月の関西遠征で対戦した大阪桐蔭、京都国際、智弁学園(奈良)に喫した完敗を機に取得したカーブとチェンジアップも駆使した。この日は本来、空振りを奪えるゾーン低めの変化球を見極められた。それでも緩急とコースで勝負。「緩急でカウントを取りつつ、直球で三振を取れたことがこの結果につながりました」。球種が増えことにより、攻め方にもバリエーションが生まれた。
直球にも手応えを感じた。冬場に直球の威力をより一層増すためにひたすら投げ込んだ。球速は昨年から4キロ上がり、この日は147キロを計測。女房役の川尻結大(ゆいと)捕手(3年)も「球速では表せないような、回転数というか。数字には出ない球威が増しました」と成長を感じた。
狙うは2年ぶりの夏王座奪還だ。吉川は「先を見ずに1戦、1人、1球にこだわって戦っていきたいです」と意気込んだ。ひと冬を越えて、さらに進化を遂げたエースが1歩ずつ、着実に甲子園へと導いていく。【木村有優】
▽仙台育英・須江航監督(42) 吉川の成長は本当に頼もしいです。他の投手がどこまで登板できるかが、この夏のポイントになります。ただ、今日は走塁ミスもありましたし、ゲーム中盤には攻めあぐんでますし、手放して喜べる内容ではありませんでした。
○…智弁和歌山は夏の甲子園優勝経験同士の対戦で完敗を喫した。中谷仁監督(46)は「ピッチャー中心にあそこまで守備を固められると、なかなか崩れないので、吉川くんにやられましたね…」と振り返った。さらにチームは4失策。「失点の多くはミスなので、夏開幕に向けてもう1度、見直したいです」と修正点を挙げ、「次は甲子園で再戦できるように頑張りたいです」と話して帰路に就いた。
○…仙台育英の吹奏楽部が招待試合に花を添えた。智弁和歌山の魔曲「ジョックロック」が同校グラウンドに響きわたった。篠原澪部長(3年)は「普段は演奏しない曲もできて、私たちにとっても良い経験になりました」と振り返った。吹奏楽部3年生にとっても最後の夏。「私たちの演奏で選手たちに力を与えられるように、精いっぱい、練習を重ねたいと思います」と力強く口にした。