
<ヤクルト0-2阪神>◇28日◇神宮
激アツの神宮でお目覚めだ! 阪神森下翔太外野手(24)が先制決勝の12号2ランを放ち、チームの連敗を2で止めた。テレビ中継で、神宮球場の内野カメラマン席の温度が43・1度と紹介されたほど酷暑下のデーゲーム。背番号1が12日の西武戦以来11試合、54打席ぶりの千金弾で、両リーグ最速50打点超えとなる51打点に積み上げた。前夜エラーでサヨナラ負けした重いムードも一掃。背番号1の復活とともに、チームも首位戦線を快走する。
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森下の打球は、ジリジリと日差しが照りつけた左翼スタンドに飛び込んだ。猛暑の中で、大声援を送った東都の虎党に贈る先制2ラン。一塁を回ったところで小さくガッツポーズし、大歓声を浴びながらダイヤモンドを1周した。ボタボタとしたたる汗をぬぐい、充実の笑みを浮かべた。
「ロースコアになると思っていたので、いいところで打ててよかった」
テレビ中継で一時、神宮の内野カメラマン席の温度が43・1度を記録したと紹介されるほどの酷暑。それでも背番号1は集中力を途切れさせることはなかった。0-0の5回2死二塁、ヤクルト先発左腕高橋の高め直球をフルスイング。12号先制2ランで、先発デュプランティエを援護した。
12日の西武戦以来11試合、54打席ぶりのお目覚め千金弾で、両リーグ最速で50打点も突破した。49打点で並んでいた佐藤輝に2差をつけ、両リーグ単独トップに再浮上した。「まだまだ打てる場面が多いので、もっと積み重ねられるように頑張ります」。チーム最多の決勝打は早くも12度だ。
交流戦は4試合連続無安打で終え、リーグ戦が再開した前日27日は、内野安打で20打席ぶりのヒットを放ったが、他の打席は凡退。打ちたい気持ちが先走り「修正して結果が出なくて、また修正して結果が出なくての状態だった」と、もどかしい日々が続いていた。
この日のフリー打撃でも納得のいかない表情を何度も見せ、試行錯誤。だがラスト1球を弾丸ライナーを左翼席に突き刺し、手応えをつかんで試合に臨んだ。構える前に右手でバットを持ち、左手を前に突き出す動きを取り入れるなど繊細な感覚を入念に確認。「ずっと修正してきて、何とか結果として出てくれた」。初回の右前打と合わせた6試合ぶりのマルチ安打で、復活を印象づけた。
前夜のサヨナラ負けを払拭(ふっしょく)し、連敗を2で止めた藤川監督は「森下のホームランが非常によかった。昨日より状態はいいなと思って見ていました」とたたえた。29日も酷暑が予想されるが、ここを乗り切ると9月15日中日戦(甲子園)まで屋外デーゲームはない。首位快走のためにもう1日、踏ん張りどころ。「明日も熱い声援をよろしくお願いします」。暑さを吹き飛ばす、背番号1の熱いもう1丁に乞うご期待だ。【塚本光】