
<日本生命セ・パ交流戦:阪神-ソフトバンク>◇22日◇甲子園
ソフトバンク柳町達外野手(28)が交流戦優勝に大きく貢献した。試合前時点でパ・リーグと交流戦の首位打者。慶応-慶大から19年ドラフト5位で入団した6年目の男が、覚醒の時を迎えている。
交流戦は18試合中16試合で安打を放った。王貞治球団会長の助言で目指してきたスイングスピードと打球速度のアップが実を結んでいる。開幕2軍スタートも近藤が腰の手術を決断した4月頭から1軍昇格。伏兵だった柳町は今では欠かせないレギュラーだ。
ちょうど1年前、小久保監督から「今のお前ならすぐに使われなくなる。代わりはおるんやぞ」と厳しい指摘を受けた。この日と同じ阪神戦。2死走者なしのカウント3-0、ヒッティングのサインが出ていたが真ん中の直球を見送った。
当時は打率も本塁打も突出した数字はなかった。ソフトバンクの外野陣は層が厚い。長打力アップでレギュラーをつかむために右方向への強いスイングを続けながら、バットを振らなかった。小久保監督は「オフから強いスイングを続けてきたんちゃうんか。振らないと」と柳町に話した。指揮官からの愛ある“説教”を糧に、1年で急成長を遂げた。
8日のヤクルト戦でキャリア初の規定打席に到達した。「目指すところは最後の最後に名前が載っていること」。首位打者は謙虚な「慶応ボーイ」。リーグ戦再開後もチームを引っ張り続ける。【只松憲】